イスラエル孤立さらに鮮明に 世論反発で政権に求心力も、欧州3カ国のパレスチナ国家承認

AI要約

アイルランドなど欧州3カ国がパレスチナ国家の承認を表明し、イスラエルの孤立が浮き彫りになった。

イスラエルはパレスチナの占領を続けており、国家承認は象徴的な意義にとどまる。

イスラエルの軍事攻撃に対する世論の反発が高まり、外交面でも影響が広がっている。

アイルランドなど欧州3カ国が22日、パレスチナを国家承認すると表明し、国際社会で進むイスラエルの孤立が印象付けられる形となった。イスラエルのネタニヤフ首相は、同国を奇襲したイスラム原理主義組織ハマスなどを勇気づける「テロリズムへの褒美」になるとして批判した。

イスラエルは第3次中東戦争(1967年)でパレスチナ人が多く住むヨルダン川西岸とガザを占領し、ガザではハマスと戦闘を続けている。3カ国のパレスチナ国家承認には、こうした実態を変える実効力はなく、象徴的な意義にとどまる。

とはいえ、ガザの民間人に大きな犠牲が出ているイスラエルの軍事攻撃への反感は根強く、外交にも影響を広げつつある。

バイデン米政権はイスラエルがガザ最南部ラファで行うとする地上作戦に反対し、兵器供与の停止をちらつかせている。5月には国際刑事裁判所(ICC)の検察官がネタニヤフ氏らの逮捕状を請求したほか、国際司法裁判所(ICJ)は1月に始めた審理でジェノサイド(集団殺害)を防ぐ「あらゆる措置」を取るようイスラエルに求めた。

一方、イスラエルではパレスチナ国家を建設して共存を図る「2国家解決」の支持は少数派で、ネタニヤフ政権も一貫して反対してきた。ロイター通信は、欧州3カ国の動きはイスラエル国内で政権の求心力強化につながり、イスラエルの孤立を是とする国内世論を促しかねず、「非生産的だ」などとする識者の見方を伝えた。(中東支局 佐藤貴生)