アイルランドとスペイン、ノルウェーがパレスチナの国家承認表明 中東和平の後押し狙い

AI要約

アイルランド、スペイン、ノルウェーの欧州3カ国がパレスチナを国家承認し、イスラエル政府が抗議する中、パレスチナとイスラエルの和平を後押しする動きが加速している。

パレスチナの承認国はアイルランドとスペインを含めて計10カ国になり、ベルギー、マルタ、スロベニアも追随する可能性が高い。

イスラエル外相は欧州3カ国の決定を批判し、パレスチナへの国家承認はテロリズムを奨励するメッセージだと主張している。

【ロンドン=黒瀬悦成】アイルランド、スペイン、ノルウェーの欧州3カ国は22日、パレスチナを国家承認すると表明した。今月28日に正式承認するとしている。イスラエル政府は不満を表明し、3カ国に駐在するイスラエル大使に即時帰国を指示した。

欧州連合27カ国のうち、パレスチナの承認国はアイルランドとスペインを加えて計10カ国になる。ベルギーとマルタ、スロベニアも近く追随する可能性を示唆している。

アイルランドなどによる国家承認は、国際刑事裁判所(ICC)が20日、パレスチナ自治区でのイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘をめぐりイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を請求するなどイスラエルに対する風当たりが強まる中、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を後押しすることで和平を促す狙いがある。

英スカイニュースによると、アイルランドのハリス首相は22日、「2国家共存こそがイスラエルとパレスチナの平和と安全に向けた成功の見込みがある唯一の解決策だ」と強調した。

ノルウェーのストーレ首相も「パレスチナの国家承認なくして中東に平和は訪れない」と述べた。

一方、イスラエルのカッツ外相はX(旧ツイッター)への投稿で、欧州3カ国の決定について「パレスチナ住民と世界に『テロリズムは割に合う』とのメッセージを送るものだ」とし、ガザ停戦は「むしろ困難になった」と主張した。

英紙スタンダード(電子版)によると世界の少なくとも140カ国がパレスチナを国家承認している。日本や米英は承認していない。