少数与党「中国浸透」に強い危機感 乱闘で法案阻止、「ヒマワリ運動」再演も 頼清徳政権の行方(中)

AI要約

民進党と国民党の対立により、台湾の立法院は混乱に陥り、改革法案の審議で乱闘が発生する

与野党は立法院改革法案を巡って激しく意見が対立し、立法院の権限強化に関する法案が議論される

民進党は法案の成立を阻止しようとし、韓国瑜氏が最大の責任者として批判される状況が続く

少数与党「中国浸透」に強い危機感 乱闘で法案阻止、「ヒマワリ運動」再演も 頼清徳政権の行方(中)

「立法院(国会に相当)は死んだ。韓国瑜(かん・こくゆ)氏はその最大の責任者だ」

頼清徳総統の就任を2日後に控えた18日未明。台湾の与党・民主進歩党の立法委員(国会議員)団トップ、柯建銘(か・けんめい)氏は疲れ切った表情で立法院議場から出てくると、議事を取り仕切った最大野党・中国国民党の立法院長(国会議長)への怒りをぶちまけた。

柯氏が率いる民進党議員団は17日早朝から、立法院改革に関する法案の審議で野党と激しく対立した。乱闘にまで発展し6人が負傷、病院に搬送された。うち5人は民進党の立法委員だった。

1月に行われた立法委員(定数113)選で民進党は51議席しか獲得できず、少数与党に転落した。一方、国民党は52議席を得て第1党となり、国民党と連携する第2野党、台湾民衆党も8議席を獲得。民進党は立法院での主導権を失った。

今回、与野党対立の焦点となった立法院改革の関連法案は、国民党が主導したもので、立法院の権限強化が狙いだ。

従来の制度上、総統が立法院で答弁することは想定されてこなかったが、法案は「定期的に立法院に出向いて答弁しなければならない」と規定。政府機関の人事に関しても立法院の同意手続きを厳格化する。刑法に「議会侮辱罪」を新設し、閣僚や民間人などが立法院での証言を拒否したり、立法院が求める資料を提出しなかったりした場合は懲役や罰金刑を科すことも盛り込んだ。

民進党は、安全保障に関する軍事機密や民間企業の秘密が守れなくなることなどを懸念し、反対を表明。「審議が十分行われていない」と審議延長を求める提案を計40回出したが、全て否決された。

立法院長の韓氏は17日、同法案の強行採決に踏み切ろうとしたが、民進党の立法委員らが「権力の乱用だ」などと叫びながら採決を力ずくで止めようとして乱闘に発展した。17日深夜になり、韓氏はようやく法案審議の一時中断を発表。審議は21日に再開されたが、混乱は続いている。

民進党の立法委員団は今回、頼氏が総統に就任する直前のタイミングで、体を張って「頼政権の弱体化」につながる法案の成立を一時的に阻止した形だ。しかし、立法院の構図が変わらない限り、野党が提出する法案は今後、次々と可決されることになる。