墜落死のイラン大統領、米国務省「彼の両手が血で汚れている現実は変わらない」

AI要約

米国務省はイランのエブラヒム・ライシ大統領の死を哀悼し、彼の人権侵害に対する批判を述べた。

米国はイランとの関係に変化を期待せず、支援要請に応じなかったことを明らかにした。

オースティン国防長官は事故死が地域の安全保障に影響を与える可能性を否定し、米国の非関与を強調した。

 【ワシントン=淵上隆悠】米国務省のマシュー・ミラー報道官は20日の記者会見で、イランのエブラヒム・ライシ大統領がヘリコプターの墜落事故で死亡したことに対し、「哀悼の意」を表明した。その上で、ライシ師が長年にわたってイラン国民の弾圧を続けてきたと指摘し、「彼の両手が血で汚れている現実は変わらない」と批判した。

 ミラー氏は、ライシ師が政治犯の殺害や女性らに対する人権侵害に加担してきたと強調。国交を断絶しているイランとの関係について、「これからも変わらない」と語った。ミラー氏は、ライシ師の捜索を巡り、イラン側から支援を求められたことも明らかにした。米側は応じる方針を伝えたものの、実現はしなかったという。具体的な要請内容については、説明を避けた。

 一方、オースティン国防長官は20日の記者会見で、「現時点では、必ずしも地域的な安全保障への影響はない」と述べ、ライシ師の事故死が地域の不安定化につながるとの見方を否定した。イランが今後、事故の責任を敵対する米国やイスラエルに転嫁する可能性については「米国が関与していないのは単純明快な事実だ」と語った。