SNSで燃え上がる【偽・誤情報の拡散】...カギとなる対抗する力とは?

AI要約

欧米の研究者の間で進んでいる偽・誤情報対策の見直しについては以前の記事で取り上げた。

市民の自発的な活動が重要性が高まっており、英国の暴動においても市民の活躍が大きな役割を果たした。

政府やメディアの対応だけでなく、市民の連携、支援が重要であることが示唆されている。

SNSで燃え上がる【偽・誤情報の拡散】...カギとなる対抗する力とは?

欧米の研究者の間で進んでいる偽・誤情報対策の見直しについては以前の記事(「見直しが始まった誤・偽情報対策 ほとんどの対策は逆効果だった?」)でご紹介した。【一田和樹】

多様なアプローチがあるが、共通しているのは偽・誤情報だけに注目せず全体像をとらえることと、社会を構成する各アクターの参加と相互の信用の再構築である。

こうした議論の中で、これまで偽・誤情報対策において、見過ごされてきた市民の自発的な活動が重要になってくる可能性が高い。過去に起きた偽・誤情報問題の阻止や抑止に市民の自発的な活動は有効に機能してきたが、これまであまりとりあげられることがなかった。

【見過ごされてきた市民の対抗力】

今年の7月29日に発生した英国での暴動は当初偽・誤情報の拡散があったことから、偽・誤情報を拡散していた人々が逮捕され、拡散に対処できなかったSNSプラットフォームが責められている。

以前の記事でご紹介したように、偽・誤情報が関係する事件が起きた際、偽・誤情報の拡散主体、SNSプラットフォームそしてFIMI(ロシアなど海外からの干渉)を政府とメディアが非難するがパターンになっている。

暴動は各地に飛び火したものの短期間に収まったが、極右グループの結束を強めた可能性が高いとISD(戦略対話研究所)は指摘している。政府とメディアの対応が効果をあげておらず、逆効果になっている可能性があるのもいつものパターンだ。

今回の暴動が短期間に収まったのは英政府が毅然とした厳しい対応を行ったこともあるが、英国内の市民らの活躍も重要な役割を果たした。

暴動が各地に飛び火した際、市民グループは暴徒が現れる地域をいち早く特定し、ネット上で共有、事前に警戒していた。ある地区では人数で圧倒された現地の警察は、攻撃対象の移民の施設に押し入ろうする暴徒を止めることができなかった。

その時、暴徒の前に多数の市民が立ちはだかって建物への侵入を食い止めた。他の地区では多数の市民が警戒をしているのを見て、なにもせずに引き返した暴徒も多かったと伝えられている。

当時、複数のメディアや研究者が「HOPE not hate」などの市民グループの情報を参照していたことからも市民が迅速に情報収集と共有を行っていたことがうかがえる。

しかし、なぜか英政府はこうした市民の活動が対抗力として重要であり、連携、支援してゆくということを前面に打ち出していない。偽・誤情報の拡散主体とSNSプラットフォームへの厳しい姿勢が表に出ている。