【ミャンマー】洪水でミャンマー74人死亡、89人不明

AI要約

ミャンマーでは台風11号による洪水で74人が死亡し、89人が行方不明となっている。

軍政が救助活動を行っているものの、政治的対立や内戦状態が人道支援を妨げる状況となっている。

被災地では国軍や少数民族武装勢力、市民が支援活動を行っており、国際支援も必要とされている。

【ミャンマー】洪水でミャンマー74人死亡、89人不明

 ミャンマー軍事政権によると、台風11号(ヤギ)や悪天候で発生した洪水による同国の死者数が、13日夕までに74人に上った。行方不明者は89人。国軍や国際・市民団体などが救助活動を続けているが、内戦状態に陥る中で政治的対立が人道支援を阻みかねない状況となっている。

 15日付国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーによると、洪水被害は北東部シャン州(同州の東部・南部)、東部モン州、カイン(カレン)州、中部バゴー地域、マンダレー地域、エヤワディ地域、首都ネピドーの64郡区で発生。死者・行方不明者の他、6万軒を超える家屋や各種インフラに被害が出た。

 軍政は救助活動の様子を大々的に報じ、企業や市民にも寄付を募っている。ただ、2021年2月のクーデターで実権を握った国軍を嫌う市民感情は根強い。最大都市ヤンゴンに住む若者はNNAに、「国軍が故意にダムから放水して洪水被害が拡大した」と話した。民主系メディア「イラワジ」は、タイが支援物資の供給に動く一方でミャンマー国軍が空爆を続けていると批判した。市民や企業の間では、被災地支援に向けた募金や救援物資の提供、救援活動への協力といった活動が広がっている。

 少数民族武装勢力などが実効支配する被災地も多く、国軍が把握できていない死者・行方不明者を合わせると被害はより大きくなる。国軍と各勢力の協力は限定的で、紛争が救助活動を分断させたり、国際支援の障害となったりする恐れがある。

 昨年5月に大型サイクロン「モカ」が西部ラカイン州を中心に甚大な被害を与えた際には、国軍や現地の少数民族武装勢力「アラカン軍(AA)」がそれぞれ支援活動を実施。民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」は国際社会に対し、民主派武装組織「国民防衛隊(PDF)」が多い北部ザガイン地域などを含めた支援を呼びかけていた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の人道支援調整センター(AHAセンター)によると、14日午後6時までの集計で、被災した5カ国(ベトナム、タイ、ミャンマー、フィリピン、ラオス)の洪水・土砂崩れなどによる死者数は計352人、行方不明は110人。このうち台風が直撃したベトナムの被害が最も大きい。