中国、70年間据え置いた定年を延長へ 少子高齢化で 反発の声も

AI要約

中国は定年年齢の引き上げを決定し、男性は60歳から63歳に、女性は55歳から58歳に引き上げる方針を発表した。

社会が直面する少子高齢化に対応するため、時代に合わせた改革が必要不可欠である。

一人っ子政策の影響もあり、年金制度の破綻を防ぐためには定年延長が避けられない状況にある。

中国、70年間据え置いた定年を延長へ 少子高齢化で 反発の声も

 中国の習近平指導部は13日、定年年齢の段階的な引き上げを発表した。今後15年間かけて男性は60歳から63歳に、職位によって定年年齢が異なる女性は55歳を58歳に、50歳を55歳に引き上げることを決めた。国民の反発が強く積年の課題だったが、日本を上回るペースで進む少子高齢化に直面し、習近平指導部はこれ以上先送りはできないと判断したとみられる。

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が13日、政府が提出した関連議案を可決した。時間をかけて徐々に退職年齢を引き上げることで、社会・経済に与える影響を緩和し、年金受給開始が先延ばしになることへの国民の不満に配慮した。

 国営新華社通信によると、現状の退職年齢が定められたのは1950年代で、人口構造の変化に対応できなくなっていた。平均寿命は78歳を超え、70年前と比べて30歳以上延びている。2023年末の65歳以上の人口は2億1676万人で、全人口に占める割合(高齢化率)は15・4%に達する。10年後には21%を超えて超高齢社会に突入するとの予測がある。

 しかも長年続いた一人っ子政策によって少子化が加速度的に進み、社会保障制度を支える現役世代は急減している。政府の推計では、25年までの5年間で定年退職者が新たに4000万人以上増え、逆に生産年齢人口は3500万人以上減少するという。年金制度の破綻を防ぐには、定年延長による支出の抑制が不可避となっていた。【北京・河津啓介、岡崎英遠】