アルゼンチンの自治体が独自通貨を発行…厳しい歳出削減に対応するために(海外)

AI要約

アルゼンチンのラ・リオハ州が独自の通貨「チャチョ」を発行し、地域経済の活性化を図る。

州政府職員には一定額のチャチョが支給され、ペソとの交換も可能。経済改革を進めるミレイ大統領の政策への対応として注目されている。

州内の小売店もチャチョを使うよう奨励されているが、消費者や事業主は新通貨の受け入れに慎重な姿勢を見せている。

アルゼンチンの自治体が独自通貨を発行…厳しい歳出削減に対応するために(海外)

アルゼンチンのある州が、地元経済を押し上げるため、独自の通貨を発行した。

政府職員らは8月、チャチョと呼ばれる新通貨を受け取った。

ペソとの等価交換も可能だ。または12月まで待って17%の金利を得て交換しても良い。

財政が逼迫したアルゼンチンの自治体、ラ・リオハ(La Rioja)州は、地元経済を押し上げ、ハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領による経済改革の埋め合わせをするために独自の通貨「チャチョ(chacho)」を発行した。

ブルームバーグによると、今年初めに中央政府が毎月の交付金を減額したため、ラ・リオハ州は景気後退に陥り、2月に破産状態になったという。

ミレイ大統領は昨年、積極的な歳出削減と米ドル導入によって高騰するインフレの抑制を目指すことをほぼ唯一の政策として掲げ、選挙戦を勝ち抜いた。

アルゼンチンの前年同月比のインフレ率は2月、276%を超え、世界で最も高いインフレ率となった。

だが、ミレイ大統領が容赦ない歳出削減で経済を軌道に戻そうとする中、ラ・リオハ州は政府からの援助または融資なしでは支出を続けることができなくなっている。

リカルド・クインテラ(Ricardo Quintela)知事による新しい通貨「チャチョ」は、州の苦しい経済を好転させることを意図したもので、これまでに約300万ドル(約4億3200万円)相当が配布されている。

同州の労働力の3分の2を占める州政府職員は8月下旬、約40ドル(約5800円)相当のチャチョを受け取った。これは、同州の平均年収240ドル(約3万4500円)からすると高額だとブルームバーグは伝えている。

州都にある役所で、同額のペソと交換することもできるし、12月まで待ってより高いレートで交換することもできる。

クインテラ知事は、小売店はチャチョとペソの比率を厳密に1対1にするように指示したが、チャチョの受け取りを拒否することもできると述べた。消費者は、長い間現金なしで過ごしてきたため、新しい通貨をすぐに使い始め、通貨が廃止されるのではないかと恐れてもいる。

ブルームバーグによると、事業主も手に入れたチャチョをできるだけ早く手放したいと考えているようで、購入額が一定額を超える場合のみペソでのおつりを返すという方針を定めているところもある。

ラ・リオハを含むいくるかの州は、同様に厳しい歳出削減が行われた2000年代初めにも、独自の通貨を発行していた。