焼損の冷却塔、解体視野 ウクライナ原発 IAEAトップ

AI要約

IAEAのグロッシ事務局長は、ウクライナ南部のザポロジエ原発で火災により冷却塔が焼損し、解体の可能性があると指摘

原子炉は冷却に問題はないが、ウクライナ全土で電力インフラの被害が深刻化しており、いくつかの原発が停止に追い込まれている

IAEAは、安全評価の対象を原発施設外の変電所に広げることを決定した

 【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発で冷却塔が焼損し、「解体が必要かもしれない」との見方を示した。

 原子炉は全て冷温停止状態のため、現時点で冷却に関する問題は生じていない。同日、ウィーンのIAEA本部で開幕した定例理事会で述べた。

 火災は8月11日に発生し、二つある冷却塔のうち一つの内壁などが焼損した。グロッシ氏は今月、現地を視察。火災の原因は不明で、ロシアとウクライナが互いに非難している。

 またウクライナでは、ロシアによる集中攻撃で電力インフラの被害が深刻化。全土で原発の安定稼働に支障が出始めており、グロッシ氏は「いくつかの原発が停止に追い込まれた」と指摘した。IAEAは、安全評価の対象を原発施設外の一部変電所まで広げることを決めた。