【社説】圧迫強まる家計の財布、さらに大きくなる内需不振への心配=韓国

AI要約

家計の余裕が減少し、世帯黒字額が連続で減少していることが懸念されている。

内需不振や景気鈍化の影響も現れ、政府と大統領の楽観的な景気認識が疑問視されている。

経済再生には精巧な対策と健全な政策対応が求められており、企業投資や雇用創出を重視すべきだ。

【社説】圧迫強まる家計の財布、さらに大きくなる内需不振への心配=韓国

「稼いでも残るものがない」という言葉がぴったりだ。家計の余裕金が2年連続で減少した。高まる物価と増えた借金負担のためだ。統計庁によると、今年4-6月期の世帯黒字額(全国・1人以上・実質)は月平均100万9000ウォンで、前年比1.7%減った。ただ、かろうじて100万ウォン台を維持した。世帯黒字額は所得から利子や税金など非消費支出と衣食住などに使う消費支出を引いた余裕金のことだ。貯蓄や資産購入あるいは投資、負債償還などに使えるお金だ。このお金が減るというのは家計がさらに圧迫を受けて、資産を増やしたり借金の負担を減らしたりすることが難しくなるという意味だ。

さらに心配なことは家計経済の体力が引き続き落ちていることだ。2022年7-9月期から8期連続で世帯黒字額が減って、2006年の統計集計以来、歴代最長期間減少を記録したためだ。世帯黒字額減少は物価が跳ね上がって実質所得が縮小した影響だ。そのうえ利子費用は2022年7-9月期以降、6期連続で二桁増加率を記録して家計の余裕金を減少させた。

家計の財布が薄くなり、余裕金が減れば費用を減らすほかはない。家計経済が活力を失えば内需不振と景気鈍化につながる。実際に商品と外食消費などを含む実質の消費の流れを示すレストランを含んだ小売販売額指数が7月は101.9で、1年前より2.3%減った。歴代最長期間である16カ月間、減少している。景気指標も憂鬱だ。現在の景気状況を示す景気動向指数循環変動値も7月98.4で、前月比0.6ポイント下落した。100を下回る場合、景気が悪化しているという意味だ。

このような状況であるにもかかわらず、大統領と政府の景気認識は楽観的だ。企画財政部は最近の経済動向で「ゆるやかに内需回復の兆しが見える」と明らかにした。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も先月29日の国政ブリーフィングで「韓国経済が確実に生き返っていて今後もっと大きく跳躍するだろう」と話した。このような診断と判断には半導体が主導する輸出回復に対する期待が反映されているようだが、問題は輸出が主導する好調が内需につながっていかないところにある。

指標で明らかになった経済状況よりも民生はもっと厳しく大変だ。チェリーピッキング式に有利な指標ばかり選んで参考にすることに伴う過度な楽観論は適切な政策対応につながりにくくなる。健全財政基調を維持する現政府の立場で大々的な内需浮揚策は難しいことから、経済の活力を育てるためには現実に対する冷静な診断を土台にした精巧な対策が必要だ。企業投資を拡大し、これを通じた雇用創出で所得を高めて消費を増やす好循環構造を作らなければならない。このためには野党を説得して経済再生法案処理を急ぐ一方、産業構造と規制改革にもより一層スピードを出さなければならない。