中国メディア、深圳男児殺害犯は「反社会分子」で「愛国」とは無関係強調 政府批判警戒か

AI要約

中国広東省深セン市で日本人学校の男子児童(10)が登校中に男に刺されて死亡した事件について、愛国主義教育が関与しているとの見方を否定し、偶発的な事件であると中国当局が強調している。

一部の投稿が事件を愛国主義教育の責任にしていると指摘される中、中国のシンクタンク関連のニュースサイトは、この見解に対して警戒している。事件は社会問題に起因しており、反社会的な行動と愛国主義とは無関係であるとの見解が示された。

一方、中国の動画投稿アプリ「快手」は、対立をあおるなどの行為を行った90余りのアカウントに対処し、対象のアカウントを閉鎖するなどの措置を取った。インターネット上には日本人学校に関する誤った情報が広まっており、それに対処する必要がある。

中国メディア、深圳男児殺害犯は「反社会分子」で「愛国」とは無関係強調 政府批判警戒か

【北京=三塚聖平】中国広東省深圳市で日本人学校の男子児童(10)が登校中に男に刺されて死亡した事件に関し、中国メディアは愛国主義教育が事件につながったとの見方を否定している。中国当局は「偶発的な事件」だと強調し、社会問題などに原因があるという批判を打ち消そうとしている。矛先が中国政府に向かうのを警戒しているとみられる。

中国のシンクタンクも関与するニュースサイト「観察者網」は21日までに掲載した論評で、中国の交流サイト(SNS)の一部の投稿が、事件を「愛国主義教育の責任にしている」と指摘。そうした見解は「世論の焦点をそらす」ものだと警戒した。歴史問題や東京電力福島第1原発の処理水海洋放出で日本を批判することは「ヘイトスピーチ(憎悪表現)ではなく、大儀凛然(りんぜん)たる正義の行いだ」と主張した。

その上で論評は、女性や子供に危害を加える人間は「反社会分子」であり「愛国」とは関係がないと強調した。中国の一部にも、事件に極端な愛国主義教育が影響しているという見方がある。

一方、中国の動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」は21日、日本と中国の対立をあおるなどした90余りのアカウントに対し閉鎖などの対応を取ったと発表した。日本に関するものがどの程度対象になったのは不明だ。ただ、中国のインターネット上では日本人学校について「スパイ養成学校」といったデマを広める動画などが今も多く残っている。