日鉄の年内完了目標に逆風 ハリス氏も反対表明 米USスチール買収

AI要約

米民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が日本製鉄による鉄鋼大手USスチール買収計画に反対を表明している。

USスチールは国内で所有、運営され続けるべきとの意見が強い。

米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は安全保障の観点から審査を続けており、日鉄の買収計画に影響を及ぼす可能性がある。

 【ワシントン時事】米民主党のハリス副大統領が、日本製鉄による鉄鋼大手USスチール買収計画への反対を表明した。

 共和党のトランプ前大統領も阻止する考えを繰り返し示しており、11月の大統領選の結果がどちらに転ぼうとも、日鉄が目指す年内の買収完了に逆風となるのは確実だ。

 ハリス氏は2日に東部ペンシルベニア州ピッツバーグで行った演説で「強い米鉄鋼会社を維持することは、国家に不可欠だ」と強調。USスチールは「国内で所有、運営され続けるべきだ」と述べた。買収計画には全米鉄鋼労組(USW)も反対の構えを堅持している。

 USスチールが本社を置く同州は、大統領選の結果を左右する激戦州で、ハリス、トランプ両氏の支持率が拮抗(きっこう)。両氏とも労働者重視の姿勢を示している。

 ハリス氏に先立って演説したバイデン大統領も改めて反対を表明。米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は、安全保障の観点から買収計画への審査を続けており、問題があると判断すれば、大統領に阻止などを勧告する。現職大統領の意向は無視できないとみられている。

 一方、日鉄はあくまで年内の買収完了を目指している。8月末には、買収後に13億ドル(約1900億円)を追加投資すると発表。労働者や地元自治体などへの働き掛けを強めている。