英独首脳会談、防衛や経済など2国間条約締結へ 英首相「欧州重視」

AI要約

スターマー英首相とショルツ独首相が会談し、2国間条約締結に向けた協議を始めることで一致。

スターマー氏はEU離脱で冷え込んだ関係をリセットし、貿易や防衛を含む幅広い分野で協力する意向。

両国は経済再生を重視し、不法移民対策や防衛分野での協力も強化。トランプ前大統領の影響にも対応する姿勢。

英独首脳会談、防衛や経済など2国間条約締結へ 英首相「欧州重視」

 スターマー英首相は28日、訪問先のベルリンでショルツ独首相と会談し、貿易や防衛などの関係を強化する2国間条約締結に向け、協議を始めることで一致した。スターマー氏は会談後の記者会見で、2020年の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)で冷え込んだ欧州との関係を「リセットしたい」と意気込みを語った。

 7月に首相に就任したスターマー氏のドイツ訪問は初。就任約2カ月での早期訪独で、欧州重視の姿勢を示した。

 両首脳は会見で、2国間条約の締結に向けて協議する方針を発表。スターマー氏は「貿易、経済、防衛など幅広い野心的な内容になる」と述べた。条約にはこのほか、エネルギー安全保障、科学、テクノロジーでの協力なども含まれる見通し。両政府は25年前半の締結を目指す方針だ。また両国は不法移民対策でも協力することで一致した。

 スターマー労働党政権は経済再生を政策の柱に掲げている。スターマー氏は「ドイツや欧州のパートナーと関係を構築することが、目標達成のために欠かせない」として、EU加盟各国との経済関係を強化する方針を強調した。ただし、「それはブレグジットを覆し、EUに再加入することを意味しない」とも説明した。

 ショルツ氏は「欧州全体に影響を与える大きな問題を解決する時、英国は常に欠かせない存在だ」と述べた。

 また、両国が防衛分野での協力強化を目指す背景には、11月の米大統領選で、ウクライナ支援や北大西洋条約機構(NATO)への貢献に消極的なトランプ前大統領が当選した場合への対策もあるとみられる。

 英国は保守党政権下でブレグジットを決めた。同党のスナク前首相の訪独は就任約1年半後だった。【ブリュッセル宮川裕章】