40日も短縮「北極近道」を航海する中国…韓国は「絵に描いた餅」

AI要約

中国の商船が北極航路を通過し、欧州との物流を改善する動きがある一方、韓国の海運業界は南アフリカ航路を利用して欧州との交通を行っている。ただし、南アフリカ航路では時間と費用がかかることから、北極航路への関心も高まっている。

しかし、北極航路はロシアと中国の間でのみ使用されており、国際制裁が物流量の停滞を招いている。韓国でも砕氷船の開発など新たな解決策が検討されている。

さらに、カナダ北部の航路や台湾への脅威への対応として、新たな代替経路の必要性が指摘されている。国際社会との協力や規制強化が今後の航路の発展に影響を与えるだろう。

「北極航路」がまた海運業界の注目を受けている。先月、中国山東省の日照港を出発した中国の「ニューニューシッピングライン」のコンテナ船「シンシンハイ2号(Xin Xin Hai 2)」がベーリング海峡(ロシア東側とアラスカ西側)を通過したと22日、韓国内の業界に伝えられたからだ。この船が利用した北極航路はロシア北部の海岸に沿って欧州につながる航路。先月初めに太倉港を出発したシンシンハイ1号も現在、北極航路で欧州に向かっている。

半面、HMMなど韓国の海運会社は南アフリカの喜望峰南端を通過する航路で欧州を行き来している。イエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシ派の昨年11月の空襲から9カ月間、紅海とスエズ運河がふさがっているからだ。紅海通過に比べて距離は6500キロ長くなり、時間も7、8日追加でかかる。

現在、釜山(プサン)を出発した商船が喜望峰-欧州という航路を移動するのにかかる時間は100日(往復)ほど。貨物運送料金が上がり、貨主の負担も大きくなった。一方、北極航路を利用すれば釜山発の商船が60日ほどで欧州を往復できる。荷主が北極航路に注目する理由だ。しかし現在のところ韓国の商船にとってこの近道は「絵に描いた餅」だ。

◆対ロシア制裁でふさがった北極航路

北極航路の物流量は2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、成長が停止した状態だ。侵攻以前の2011-21年の間に10倍近く成長したが、物流量が急減した。

北極航路を移動する場合、流氷で船が損傷するおそれがあるため、ロシアに費用を支払って砕氷船の護衛を受ける必要があるが、これの利用に国際制裁が加えられた状態だ。このため中国とロシアだけが北極航路を利用する状況になった。現在、北極航路を通過する物流量は世界の1%にもならない。

海運業界の代案の一つは韓国型砕氷船の開発だ。厚さ4メートルの氷の中を進む砕氷船を利用すれば、ロシア領海の外側でも運航でき、地政学的な葛藤から自由になるという期待だ。仁川大のチェ・スボム対北方物流事業部団長は「ハンファオーシャンは特殊砕氷船の建造経験があり、技術的な問題は大きくない」とし「政府に推進の意志があるかどうか、誰が投資するかがカギになる」と説明した。

もう一つの代案はカナダ北部海岸側の北極航路だ。チェ氏は「カナダには砕氷船がなく、北方航路の一つにカナダがあることを看過しやすいが、カナダや米国など関連国家との協力を強化して新航路を開拓する必要もある」と話した。カナダ北部の航路を利用する場合、スエズ運河を通過して欧州を行き来する場合と似た時間(約90日前後)がかかるというのが海運業界の予想だ。スエズ運河通行料の負担を減らし、海賊・反乱軍の攻撃リスクが低いという点のため、カナダ北側航路の開拓の必要性が取り上げられている。

このほか、台湾に対する中国の脅威が現実化する最悪の状況に備えても北極航路のような代替経路が必要だという主張が絶えず出ている。韓国の商船が中国東南側の海域で運航制限を受けるかもしれないという懸念だ。高麗大法学専門大学院のキム・インヒョン教授(海上法)は「国際社会の協力と規制に航路の発展がかかっている」とし「韓国が北極評議会の観察国(オブザーバー)として国益に合う論理と名分の開発に積極的に取り組む必要がある」と提案した。