中東の緊張と物価不安に…韓国、油類税引き下げ2カ月再延長

AI要約

韓国政府は油類税引き下げ措置を10月末まで延長することに決定した。原油価格の変動や国際情勢の不安定さから物価管理が必要であると判断された。

国際原油価格の不安定性が続く中、油類税引き下げ措置が11回目の延長となる。国内物価も影響を受けており、油類税の引き下げを減らすことは物価上昇の圧力になる可能性がある。

冬季に向けてのエネルギー需要が増加する中、政府は10月下旬までの延長決定を行い、主要生産国の状況を考慮して調整を検討することになる。

中東の緊張と物価不安に…韓国、油類税引き下げ2カ月再延長

韓国政府が8月に終了予定だった油類税引き下げ措置を10月末まで延長することにした。ガソリンは1リットル当たり164ウォン、軽油は174ウォン、液化石油ガス(LPG)ブタンは61ウォン引き下げる現行措置を維持する。原油価格が騰落を繰り返し、続けて物価管理が必要な状況で、油類税引き下げ終了に対する判断はこの冬に先送りした。

韓国企画財政部は21日、油類税弾力税率引き下げ延長に向けた交通・エネルギー・環境税法施行令、個別消費税法施行令改正案を立法予告した。韓国政府は2021年にコロナ禍と国際原油価格急騰に対応するため油類税引き下げを6カ月間一時的に施行し、その後2~6カ月単位で延長を続けている。今回が11回目だ。

崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官は「最近の中東地域の緊張の高まりなどで国際原油価格の変動性が拡大し、民生の負担が加重される恐れがある」と説明した。最近物価が安定を取り戻してはいるが、油類税引き下げを減らしたりなくしたりする場合には物価上昇圧力として作用しかねないというのが政府の判断の根拠だ。

実際に最近の国際原油価格は不安定な様相を継続している。ニューヨーク商品取引所で20日、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の9月引き渡し分は前営業日より0.44%安の1バレル=74.04ドルで取引を終えた。WTIは前日にイスラエルが米国主導の停戦仲裁案を受け入れることにしたというニュースに2.97%急落した。先週にはイスラエルに対するイランの報復攻撃が迫ったという懸念から80ドルを超え急騰した状態だった。

国際原油価格だけでなく国内物価にも不確実性は相変わらずだ。韓国銀行によると7月の生産者物価は前月より0.3%、前年同月比では2.6%上昇した。石炭・石油製品の生産者物価指数は前月比2.8%、前年同月比で12.1%と大きく上がった。集中豪雨などの影響でサンチュが前月比171.4%、キュウリが98.8%上昇した。韓国銀行のイ・ムンヒ物価統計チーム長は「8月以降の推移は猛暑と台風などの不確実性が残っておりもう少し見守らなければならない」としている。

気候被害に加えて秋夕(チュソク)需要まで続く点は物価に上方圧力として作用する。物価が傾向的には安定を取り戻しつつあるという観測が出ているが、国民が体感する物価指標は依然として高い水準だ。税金収入が減っても油類税引き下げ措置延長などで物価管理が避けられない状況だ。

今回の延長決定で政府は冬を控えた10月下旬まで再び油類税弾力税率調整の可否を決めなければならない。通常冬季にはエネルギー需要が集まるため政府が油類税引き下げ措置を減らしたりなくすには負担となる恐れがある。企画財政部関係者は「主要生産国の地域的状況などを考慮して延長の可否を決めることになるだろう」と説明した。