米中の製造業、貿易戦争6年で双方に深刻な打撃 

AI要約

ファウンドリー世界最大手のTSMCとインテルが工場稼働を延期する理由として、米中貿易紛争によるサプライチェーン問題や半導体投資ブームによる人材確保の難しさが挙げられる。

中国では恒大集団傘下のEVメーカーが破産を申し立てるなど、EV産業の過剰生産や競争激化が企業に大きな打撃を与えている。

米中貿易紛争が両国の製造業に深刻な影響を与え、バイデン大統領の製造業投資プロジェクトのうち4割が遅延や中断されるなど、世界的なサプライチェーン問題とコスト増大が投資に影響を与えている。

米中の製造業、貿易戦争6年で双方に深刻な打撃 

 ファウンドリー(半導体受託生産)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は最近、米アリゾナ州に建設中の大規模工場の稼働時期を先送りした。第1工場は2024年から25年に、第2工場は24年から28年にそれぞれ延期した。インテルも200億ドル(約2兆9000億円)をかけ、米オハイオ州に建設している半導体工場の量産を25年から26年末に延期した。工場稼働を遅らせる理由は、米中貿易紛争によるサプライチェーン問題で工場建設費用が急騰しているほか、世界的な半導体投資ブームで人材確保が難しいためだ。

 中国では最近、企業破産のニュースが相次いでいる。不動産を中核とする中国恒大集団傘下の電気自動車(EV)メーカーである恒大新能源汽車と恒大智能汽車は、中国の地方裁判所に破産を申し立てた。両社は当初、25年までに年間100万台のEVを販売する目標を立てたが、中国国内でEVの生産が過剰となり、昨年はわずか1389台の販売にとどまった。米国が高関税で中国製EVの輸入を事実上禁止したほか、中国企業同士の競争激化で収益性が大きく低下したためだ。エコノミスト(最新号)によれば、中国EV業界では昨年初めから少なくとも大手メーカー8社が生産または事業を中断した。

 2018年に本格化した米中貿易紛争が長引き、両国の製造業に深刻な打撃を与えている。世界的なサプライチェーン問題とコスト増大で投資が遅れたり、企業の収益性が急激に下落したりしている。

■米国、補助金支給しても投資案件の4割が遅延

 まず、米国ではバイデン大統領が21年の就任1年目に発表した製造業投資プロジェクトのうち4割が遅延するか中断されたことが分かった。11日付フィナンシャルタイムズは、バイデン政権下で推進された製造業プロジェクトのうち、1億ドル以上の114件、2279億ドル規模の投資案件を調べた結果、約4割が2カ月から数年間遅延するか、無期限で中断されたと報じた。合計投資額は840億ドルに達する。