イスラエル、世界遺産での入植地建設承認

AI要約

イスラエルの極右政治家がユネスコの世界遺産地に新たな入植地建設計画を承認

国際法違反とされる西岸の入植地建設に対し、NGOが非難の声を上げる

昨年には西岸に過去30年で最多の住宅建設計画が進行、2国家解決に影響を及ぼすと指摘

イスラエル、世界遺産での入植地建設承認

【AFP=時事】イスラエルの極右ベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相兼国防省付相は14日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に指定されているパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のバティール(Battir)に新たな入植地を建設する計画を承認したと発表した。

 スモトリッチ氏は、エルサレム(Jerusalem)の南にある入植地群グッシュ・エツィオン(Gush Etzion)内の「新たな入植地ナハル・ヘレツ(Nahal Heletz)に関する(承認)作業を完了し、計画を公表した」と述べた。

 イスラエルが1967年以来占領している西岸にあるすべてのユダヤ人入植地は、イスラエル当局の許可の有無にかかわらず、国際法違反と見なされている。

 自らも入植地に住むスモトリッチ氏は、X(旧ツイッター)に「反イスラエルおよび反シオニストの決定によって、入植地の発展が妨げられることはない」「われわれは既成事実をつくることで、パレスチナ国家創設という危険なプロジェクトに対抗し続ける」と投稿した。

 一方、イスラエルの入植活動を監視する国内NGO「ピース・ナウ(Peace Now)」は、この計画を「何千年にもわたる人間の営みの証拠である、古代の棚田と高度な灌漑(かんがい)システムで知られる地域」に対する「大規模な攻撃」だと非難した。

 ピース・ナウは、ナハル・ヘレツが完成すれば、棚田やブドウ園、オリーブ畑で知られる世界遺産、バティール村の家々と並び立つことになると指摘。「そうした行動はパレスチナの空間を分断し、大きなコミュニティーから自然や文化遺産を奪うだけでなく、人類にとって最も文化的価値があると見なされる地域に差し迫った脅威をもたらす」と非難した。

 欧州連合(EU)の報告によると、イスラエルは昨年、西岸において過去30年で最多となる1万2349戸の住宅建設計画を進めた。

 パレスチナ側はイスラエル入植地について、パレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」に対する最大の脅威だと指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News