商品紹介に「AI」うたうと購買意欲低下か 米研究

AI要約

AI分野における製品・サービス紹介において、AIに言及すると消費者の購買意欲が低下する可能性があることが研究によって明らかになった。

消費者はAIを取り入れることに慎重であり、AI技術の熱意と消費者の認識には開きがあることが示された。

消費者の意思決定にはAIの信頼性と個人データのリスク認識が影響しており、企業は透明性を重視する必要がある。

商品紹介に「AI」うたうと購買意欲低下か 米研究

(CNN) 人類の新たな開拓地としてIT大手が大金をつぎ込んでいる人工知能(AI)分野だが、製品やサービスを紹介する際にAIに言及すると消費者の購買意欲が下がる可能性があることがわかった。

今回発表された研究ではさまざまな年齢層の参加者を抽出して同じ商品を見せた。唯一の違いは、一方は「ハイテク」という表現を、もう片方は「AI」という表現を使っている点だ。

ワシントン州立大のダゴン・ガーソイ教授(ホスピタリティー企業経営)はCNNの取材に対し、「掃除機やテレビ、消費者サービス、医療サービスなどを調べた。どの場合でも商品の説明でAIについて言及すると、その製品やサービスを購入または利用する意欲が大幅に低下した」と述べた。

今回の研究では、消費者は日常生活にAIを取り入れることをちゅうちょしており、AIの技術革新を推し進めようとしているIT企業の熱意とは大きくかけ離れている状況を浮き彫りにしている。

今回の研究では、AIを利用した家電製品などの「低リスク」の商品と、自動走行車やAIを使った投資サービス、医療診断などの「高リスク」の商品を参加者がどう見ているのかについても調査した。

商品を拒否する人の割合は高リスクの集団の方が大きかったが、どちらの集団でも商品を購入しないとした人の割合が多数だった。

研究によれば、消費者が「AI搭載」をうたった商品に対して楽観的とはいえない認識を示すのには、2種類の「信頼」が関与している。

一つ目の信頼は認識に関するもので、人々はAIについて人的過誤を起こさない機械であると期待するため、AIに求める基準が高くなることと関係している。そのため、AIが失敗をした場合、その信頼は急速に失われる可能性がある。

例えば、グーグルは、AIを使い検索結果を要約してページの一番上に表示するツールを発表した。しかし、利用者の質問に対して、まぎらわしい情報やあからさまに間違った情報を提供したとしてグーグルに対する批判の声があがった。

ガーソイ氏は、AIが内部でどのように作動するのかについての知識と理解が限られているため、消費者は感情的な信頼に頼ることになり、科学技術について自身で主観的な判断を下さざるを得ないと説明する。

消費者の判断に影響を与えているもう一つの部分はAI、特に利用者の個人データの処理について認識されているリスクだ。

ガーソイ氏は「人々はプライバシーについて心配している。裏側で何が起きているのか、アルゴリズム(計算手法)がどのように実行されているのか分からない。このことが疑念を生じさせる」と指摘する。

ガーソイ氏は、こうした透明性の欠如がすでに信頼しているブランドに対する顧客の認識を悪化させる可能性があると警告。そのため、企業に対して、詳しい説明を抜きに流行語だからといって「AI」という単語を採用しないよう促した。