反捕鯨団体創設者、勾留延長の審理へ 弁護団「すでに十分過ぎる」

AI要約

デンマーク自治領グリーンランドで逮捕されたシー・シェパード団体の創設者、ポール・ワトソン容疑者が、身柄引き渡しを巡る審理に臨む。勾留延長の審理が行われ、引き渡しの是非は最終的にデンマーク司法省が判断する。

ワトソン容疑者の弁護団は、過去の犯罪に対する勾留期間が長すぎるとして勾留延長に反対。日本への身柄引き渡しを避けるために奔走している。

ワトソン容疑者の逮捕に対して抗議デモが行われる中、フランスも身柄引き渡しを拒否するようデンマークに求めている。ワトソン容疑者は複数国籍を持ち、国際手配による逮捕となった経緯がある。

【AFP=時事】デンマーク自治領グリーンランドで先月逮捕され、日本が身柄引き渡しを求める反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society%)」の創設者、ポール・ワトソン(Paul Watson)容疑者(73)は15日、勾留延長に関する審理に臨む。

 グリーンランドの政庁所在地ヌーク(Nuuk)の地方裁判所が、勾留期間を最大4週間延長する事由の有無について判断する。

 警察は「したがって2024年8月15日の審理では、身柄を引き渡しの是非についての問題は扱われない」と説明。

 日本に身柄を引き渡すかどうかは、最終的にデンマーク司法省に委ねられ、独立して判断される。

 弁護人の一人、ヨナス・クリストファーセン(Jonas Christoffersen)氏は12日の記者会見で、それでも日本への身柄引き渡しは審理で議論されるとの見方を示し、「まず、身柄引き渡しをめぐる審理中は勾留すべきだと指摘されるだろう。そうでなければ、出国する恐れがあるからだ」と述べた。

 弁護団は勾留延長に関する審理で、ワトソン容疑者がすでに、疑いを掛けられている犯罪に対して不当に長い勾留期間を過ごしていると主張する方針だ

 クリストファーセン氏は「すでに過ごした3週間で十分過ぎるので、これ以上延長することはできないと主張するつもりだ」と述べた。

 シー・シェパードのラミヤ・エセムラリ(Lamya Essemlali)仏支部長はワトソン容疑者について、活動歴を考えると日本による寛大な処罰は期待できず、年齢を考慮すると残りの人生を刑務所で過ごす可能性が高いとの見解を示した上で、「日本への引き渡しは絶対に避けたい。引き渡されたら、生きて出国できないと分かっているからだ」と訴えた。

 弁護人の一人、フランソワ・ジムレ(Francois Zimeray)氏も12日、日本の刑事司法制度を批判。「日本では有罪と推定される。検察は有罪率が99.6%だと誇っている」と主張した。

 ワトソン容疑者の逮捕を受けて、釈放を求める抗議デモが相次いで行われた。

 仏大統領府(エリゼ宮、Elysee Palace)も、ワトソン容疑者の身柄を日本に引き渡さないようデンマーク当局に求めている。ワトソン容疑者は米国とカナダの二重国籍だが、この1年はフランスに居住していた。

 ワトソン容疑者は、日本の要請を受けて国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)が2012年に発行した「赤手配書」に基づき逮捕された。2010年に南極海で日本の捕鯨船に対する妨害行為を指示したとして、海上保安庁が傷害と威力業務妨害の疑いで逮捕状を取得、国際手配していた。【翻訳編集】 AFPBB News