「緊急モードだ」韓国企業で「週6日勤務」が発動  「時代遅れ」との批判も

AI要約

世界各国が週4日勤務を推進している中、ギリシャや韓国の一部企業では週6日勤務を導入しようとしており、賛否が分かれている。

サムスンやHD現代オイルバンクなどの企業は業績悪化を受けて週末出勤を強制し始めており、社員や労働者団体から批判が出ている。

韓国の国民は長年にわたる労働時間の短縮を尊重しており、週6日勤務の導入には慎重な反応が示されている。

「緊急モードだ」韓国企業で「週6日勤務」が発動  「時代遅れ」との批判も

世界で多くの国が週4日勤務への移行を進めているが、逆行する国も現れはじめている。

今年に入り、ギリシャが週6日勤務を可能にすると発表。人口減少と熟練労働者の不足を受けての対策だが、国民の猛反発を招いている。

そして、日本の隣の韓国でも経営幹部たちに週6日勤務を要請する企業が出はじめ、賛否が分かれている。韓国の現行の労働法では労働時間は週52時間まで(標準労働時間は40時間で、時間外労働は12時間)と定められており、週末出勤は原則禁止とされている。

米メディア「クォーツ」によれば、サムスンでは製造販売部門の幹部たちは平日に加え、土日のいずれかに出勤しなければならなくなった。2023年の業績が悪化したことから、「危機感を注入して全力を尽くす必要がある」と、幹部の一人が語ったことが報じられている。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」もこの動きに注目している。

同紙によれば、石油会社のHD現代オイルバンクも業績悪化を受け、幹部数十人が週末出勤を開始。車載電池の大手SKオンも7月に「緊急モード」を発表し、役員報酬を凍結した。同社は幹部の始業時間を早めている。

韓国の大企業数社は週6日勤務を短期的な施策としているが、幹部以外の社員や中小企業にも労働時間を増やすような圧力がかかると懸念する声もある。

サムスンの労働者団体は「緊急」「危機」といった言葉は見せかけだと主張している。

「長く働けば働くほど良い結果が得られるという根強い考えがありますが、これは時代遅れです」

サムスンの重役を引退した70代のイム・ヒョンギュは、「昔、私の一週間は月、火、水、木、金、金、金でしたが、楽しかったから気にはしませんでした」と振り返る。

だが、労働時間の短縮に取り組んできた韓国の国民にとっては、これは明確な逆行と映っているかもしれない。

昨年、親企業派とされる尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、労働時間の上限を週69時間に引き上げることを提案した。 しかし国民や野党の反発を受け、大統領はこの案を撤回した。

延世(ヨンセ)大学の社会学教授であるジュン・ハンはニューヨーク・タイムズの取材に対し、こう語る。

「長年にわたる労働時間の短縮は、韓国の発展の証です。若者はもう会社の奴隷にはなりたくないのです」