米空母・カールビンソンの艦載機FA-18になぜ新型ミサイル「SM6」が搭載されたのか?

AI要約

米軍のイージス艦が世界初公開の空中発射型ミサイル"SM6"を搭載し、日本のマスコミに初公開された。

このミサイルは海上自衛隊のイージス艦にも導入予定であり、対空・対水上戦、巡航ミサイル迎撃が可能。

FA-18に搭載されたSM6は、艦隊防空を強化し、1200km先の中国空母を攻撃可能となる可能性がある。

米空母・カールビンソンの艦載機FA-18になぜ新型ミサイル「SM6」が搭載されたのか?

ハワイでリムパック演習を鋭意取材中のフォトジャーナリスト・柿谷哲也氏から一報が入った。

「米空母・カールビンソンに乗艦取材をしていたんですが、世界初公開の空中発射型のイージスミサイル『SM6』を撮りました。AIM-174Bといいます」

なんと、この写真は日本のマスコミでは初公開となった。撮影できたのは柿谷氏含めて2名のみ。

「演習では記者に対する乗艦機会を提供することがあり、今回は乗艦希望を出していたので撮影が叶いました。

このミサイルを撮影できる予定は聞かされていませんでしたが、期待はしていました。4日前に乗艦した他のメディアは見ることができなかっただけに、運が良かったです。

正直、このミサイルが今回のリムパック演習で最大のニュースといえるので、撮らないとハワイに来た意味がないと不安でした。それだけに、FA-18ホーネットの翼に白いミサイルを確認した時はアドレナリンが放出しました」(柿谷氏)

その写真が冒頭のものだ。

艦載戦闘機FA-18の右翼の下に一発、長射程汎用ミサイルSM6が搭載されている。本来、SM6はイージス艦に搭載されてミサイル防衛(MD)を担当する。

「日本の海上自衛隊のイージス艦にも、この艦載用のSM6の搭載を予定しています。SM3を対弾道ミサイル迎撃に使い、射程240~300kmのSM6は中距離弾道ミサイルから巡航ミサイルの迎撃、さらに対空戦、対水上戦に使えます」(柿谷氏)

つまり、海自イージス艦は、日本本土へ宇宙空間から飛来する弾道ミサイルや、海上を低空で飛来する各種巡航ミサイルなど、中国軍のあらゆる飽和攻撃に対して対処が可能になる。

「艦載型のSM6は日本だけなく、オーストラリア、韓国も導入する予定で、今後、アメリカの同盟国が持つイージス艦に次々に輸出されます。

また、FA-18は将来は各国空軍が使用するF-15ストライクイーグルなどの戦闘機にも搭載できるようになるでしょう」(柿谷氏)

そのイージス艦用ミサイルSM6を、なぜ戦闘機に搭載するのだろうか。

「まず、イージス艦からSM6を撃つ場合、上空に打ち上げるブースター部分が必要です。そのブースターは大型化していて、全長6.55m、重さ1.5トンです。

空中発射型はそのブースター部分を装着せずに搭載されていました。その目的は艦隊防空が第一です。E-2D早期警戒機の支援の下、随伴するイージス艦より前線に出ることができます。つまり、FA-18はイージス艦より前に出て、対空戦や対水上戦、そして弾道ミサイルへの対処に使えます」(柿谷氏)

かつて米海軍F-14に搭載されていた長射程150kmのフェニックス空対空ミサイルは重さ450kgだった。

「FA-18搭載用のSM6の重さは不明ですが、発艦したFA-18が上空からこのSM6を撃てば、射程距離が伸びます。明らかになっているデータでは、250~460km以上とされています。

また、SA6にはレーダーが搭載されており、目標を探知追尾できるアクティブレーダーホーミングです」(柿谷氏)

FA-18の戦闘行動半径は空母から740km。空母から前進しそこからSM6を撃てば、空母から1200km先の中国空母を攻撃可能となるのだろうか。