「外国政府への主権干渉、度を越している」対中政策国会議連が抗議 台湾総会の出席に圧力

AI要約

中国による国会議員への圧力に対する抗議声明が発表された。IPACは40カ国・地域の国会議員からなる組織で、中国の権威主義に対抗している。

中国側が台湾でのIPACの総会への参加を拒否し、議員に圧力をかけたことが報告された。中国の干渉に対して各国政府からの議員の保護が求められている。

日本からも複数の国会議員がIPACの総会に参加し、中国の圧力に抗議する声明に署名した。国際社会全体が協力して中国の圧力に立ち向かう必要性が指摘されている。

日米欧豪など40カ国・地域の国会議員らが中国での人権侵害行為などを監視する「対中政策に関する国会議員連盟(IPAC)」は6日、所属議員が中国政府から不当な圧力を加えられたとして、抗議声明を出した。7月末にIPACが台湾で年次総会を開いた際、中国側が参加しないよう要求したり、出席した議員の所属政党に非難させたりしたといい、声明で「外国の議員を脅したり移動の自由を制限したりすることは許されない」と強調した。

IPACは中国の権威主義に民主主義の理念で対抗するため、2020年6月に英国保守党の党首を務めたダンカン・スミス氏らを議長に設立された。当初は欧米を中心に8カ国の議員らが加盟したが、現在は5大陸40カ国に広がっている。

今回、IPACが7月29日~31日に台湾・台北で年次総会を開いた際、ボリビア、コロンビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロバキア、北マケドニアなど6カ国の所属議員が中国側から訪台をやめるようにメールや電話などで要求されたという。

総会に参加したルーマニアの国会議員を巡っては、議員の所属政党に対し、在ルーマニア中国大使館が「行動を管理するための具体的な措置を講じ、いかなる形でも台湾との交流や公式接触を行わないこと」を求める文書を出した。ソロモン諸島政府は、出席した自国の議員について、同国政府や議会、国民を代表した行為ではなく、出席を非難する声明を出した。背景に中国側の意向があったとみられる。

一連の中国側の行為について、IPACは声明で「民主的に選出された代表者(国会議員)の対話を強制的に制限するものだ」と抗議し、所属議員の各国政府に対し、議員を保護する努力を求めている。

IPAC発足当初、日本の野党代表として参加し、今は日本の事務局長を務める元国民民主党衆院議員の菅野志桜里弁護士は、今回の中国側の行為について「外国政府の主権に対する干渉が度を越している」と危惧する。「圧力に対して国際社会が連携して対抗する姿勢を強力に示すことが必要だ」とも指摘した。

7月の年次総会では、台湾の頼清徳総統が出席し、民主主義国の連携を強めて中国の脅威に対抗する姿勢を確認した。自民党の中谷元元防衛相や国民民主の舟山康江参院議員ら9人の国会議員が出席し、それぞれ今回の抗議声明に署名している。(奥原慎平)