児童婚は米国でも合法的におこなわれている─廃止のために運動するサバイバーたちと、それを阻止しようとする人たち

AI要約

16歳で結婚した米国の児童婚サバイバー、コートニー・コズニックの物語。未成年との結婚、暴力、離婚までの苦悩を綴る。

ミシガン州での児童婚を非合法化するための取り組みに参加したコズニック。全米で児童婚根絶に向けた運動が進行中。

自らの経験から、児童婚は許されないことを強く訴えるコズニック。団体「アンチェインド・アット・ラスト」と共に活動を続けている。

児童婚は米国でも合法的におこなわれている─廃止のために運動するサバイバーたちと、それを阻止しようとする人たち

米国では2000年以降、数十万の児童婚が発生している。多くの州では、明確に禁止する法律すら整っていないのだ。児童婚のサバイバーたちを中心とした、根絶に向けた運動は進展しているものの、いまだに児童婚を維持しようとする人もいる。米国の現状を英紙「ガーディアン」が取材した。

コートニー・コズニックが夫となる男性と出会ったのは16歳の時、デトロイトの喫茶店でのことだった。彼女は彼を救世主だと感じた。アルコール依存症により職が見つからない母のもとで、彼女は貧しい暮らしをしていたが、彼は安定を約束してくれた。そしてその2ヵ月後、彼はプロポーズをしてきた。

彼は28歳で、コズニックよりも10歳以上年上だったが、誰も結婚に反対する人はいなかった。それに彼は、彼女が未成年であっても合法的に結婚する方法を知っていた。彼女の母親から許可をもらいさえすればよいのだ。それでだめだった場合も、結婚に関してそれほど法律が厳しくないオハイオ州まで行けばよい。

コズニックの母親を説得することは容易だった。その男性は洗練されていてフレンドリーな印象で、コズニックに対して「よりよい道徳教育」ができるとも話したのだ。「妻に対して『道徳教育』を受けさせると言う夫はおかしくないですか?」と、現在47歳になったコズニックは言う。「私は結婚前に充分に教育されているべきだったのです」

1993年の結婚式の日、ティーンエイジャーのコズニックが年上の男性と結婚する様子を10人のゲストが見守った。相手の家族もほとんどが出席したが、ひとりの例外があった。「彼の叔父は司祭で、何十年にもわたって家族全員の結婚式でその役割を果たしましたが、私たちの結婚は年齢の差を理由に認めてくれませんでした」と、コズニックは回想する。

コズニックは夫とのよりよい生活を求めていたが、それは新婚初夜、彼が初めて身体的暴力を振るってきたことで打ち砕かれた。「ほぼその瞬間から、結婚生活を抜け出したいと思いました」

しかし、夫は家計のすべてを管理し、彼女が誰と会話するかまで監視していた。6年後、彼女がついに離婚を申し出ると、彼は長子を連れて州外に逃げ、彼女の気が変わるまで戻ってこないと言いはなった。

彼女たちは結局23年の結婚生活を送り、4人の子供をもうけたが、別れることになったのは、コズニックがこっそりと初めてのクレジットカードを作ってからのことだった。カードの5000ドル(約75万円)の融資枠を、離婚のための弁護士費用に充てた。

コズニックは現在では、子供の頃に結婚をすることなど、あってはならないと理解している。2023年6月、全米の児童婚サバイバーで作る団体、「アンチェインド・アット・ラスト」は、彼女の地元ミシガン州でロビー活動をおこない、児童婚を非合法化することに成功した。コズニックはこれに参加した。