安価な爆弾「クイックシンク」で強襲揚陸艦撃沈、米が演習に成功 中国も注目

AI要約

米軍と同盟国が行った海上演習で、B2爆撃機が安価な誘導爆弾を使用して強襲揚陸艦を撃沈した訓練が注目されている。

この訓練は、アナリストらが米中の紛争に備えて非常に重要だと評価しており、潜水艦への効果的な攻撃方法が実証された。

中国の海軍力や周辺国の安全保障についても検討される中、安価な誘導爆弾の活用が将来の海上紛争にどのような影響を及ぼすかが焦点となっている。

安価な爆弾「クイックシンク」で強襲揚陸艦撃沈、米が演習に成功 中国も注目

ソウル(CNN) 米ハワイ沖で行われた軍事演習の非常に専門的な部分が太平洋の両側からの注目を集めている。安価な誘導爆弾「クイックシンク」による強襲揚陸艦撃沈の演習だ。

米国と同盟国は今月19日、環太平洋合同演習(リムパック)の中で長距離兵器を用いて大型水上艦を撃沈する訓練を行った。この訓練には米空軍の戦略爆撃機「B2」も初めて参加した。

テストではB2が、退役した全長820フィート(約250メートル)、3万9000トンの小型空母ほどの大きさの強襲揚陸艦「タラワ」に安価な誘導爆弾「クイックシンク」を命中させ、撃沈した。このテストはアナリストらが米中間で起こりうる紛争の戦略策定という観点で「非常に重要」と評している。

リムパックを主導した米海軍第3艦隊はプレスリリースで「この能力は世界中の広大な海域で発生する海上の脅威を最小限のコストで迅速に無力化するという緊急のニーズに応えるものだ」と述べている。

B2は米軍の最も洗練された航空機だ。米空軍によると、B2はそのステルス特性により、厳重に防御された地域にも侵入できるほか、高高度で飛行することでレーダーに探知される可能性が低い。そのためB2のセンサーは、低空飛行する航空機では捉えられない戦場の状況を視認できる。

米空軍によれば、比較的安価で効果が実証されている最大2000ポンド(約900キロ)の弾頭を持つ精密誘導爆弾と組み合わせることで、爆撃機は潜水艦の「負債」を負うことなく潜水艦から発射される魚雷の「対艦殺傷力」を得ることができるようになる。

空軍研究所は「海軍の潜水艦はいつでも魚雷1発で敵艦を撃破する能力を持っているものの、その兵器を発射することで潜水艦の位置が明らかになり、標的になってしまう」と説明する。

その点、クイックシンクは「動きの遅い潜水艦よりもはるかに速いペースかつ、はるかに広い範囲で、魚雷のような耐航性のある攻撃を空中から低コストで実現する方法」を提供できる可能性があるという。

空軍の声明によると、空軍がクイックシンクを初めてテストしたのは2022年だった。

アナリストらはB2から発射されるクイックシンクによって、台湾、フィリピン、日本の南の島々など西太平洋地域で起こり得る紛争の際に中国人民解放軍海軍(PLAN)は多くのことを考慮する必要がでてくるとみる。

米太平洋軍統合情報センターの元責任者カール・シュスター氏は「一撃で2万5000トン以上の船を沈めることができる兵器を無視することはできない」と述べた。

中国は本土に数千発のミサイルを配備し、近隣海域を支配する世界最大の海軍力を保持しているほか、陸上機からそれらの船舶に航空支援を提供する能力も備えている。

リムパックでは戦闘機や戦艦から長距離ミサイルも発射された。