ベネズエラ大統領選、投票締め切り マドゥロ氏劣勢で野党封じ込めの恐れ

AI要約

南米ベネズエラの大統領選は28日、投票の締め切り時刻を迎えた。支持率に劣勢が伝わるマドゥロ大統領と野党候補の一騎打ちが注目され、公正な選挙を求める声が高まっている。

ゴンザレス氏が圧倒的な支持を受けている中、マドゥロ氏は軍の支持を背景に開票結果を守る考えを示しており、内戦の恐れもある緊迫した状況が続いている。

マドゥロ氏の敗北に備え、米政府は制裁緩和を示唆し、ブラジルやロシアなども大統領選への介入を牽制する姿勢を見せている。

南米ベネズエラの大統領選は28日、投票の締め切り時刻を迎えた。3選を目指し独裁色を強めるニコラス・マドゥロ大統領(61)の劣勢が伝わる中、政権側が野党の封じ込めを図る恐れがあり、民主主義国は公正な選挙を求めて事態の推移を注視している。

大統領選はマドゥロ氏と野党連合が擁立した元外交官エドムンド・ゴンザレス氏(74)の事実上の一騎打ち。米非営利法人(NPO)「アメリカ評議会」によると事前の複数の世論調査の支持率はゴンザレス氏が34~59ポイントの大差で優勢。他方、ベネズエラの政府系メディアはマドゥロ氏の支持率を53%と報じた。

ロイター通信によるとマドゥロ氏は28日朝、首都カラカスで投票を済ませた後、開票結果は「軍と警察が承認し、守られる」と語った。ベネズエラ軍は2013年の大統領就任後に強権化したマドゥロ氏を支持してきた。今回も、軍指導層がマドゥロ政権から離反する兆候はないという。

マドゥロ氏は16日、自らが敗北すれば「血で血を洗う内戦」に陥ると語り、武力で政権移行を拒むのではないかとの疑念を抱かせた。南米の地域大国ブラジルのルラ大統領は22日、「恐ろしい」と不快感を示し、「選挙に負ければ(大統領の座から)去らなければいけない」と呼びかけた。米政府高官は制裁緩和を示唆し、マドゥロ氏に公正な選挙の実施を促した。

他方、マドゥロ政権の後ろ盾ロシアは30日までの予定で、カリブ海を挟んでベネズエラに面するキューバに艦艇3隻を派遣した。民主主義国によるベネズエラ大統領選への介入を牽制(けんせい)する形となった。(平田雄介)