ティモン・ウィメプ、3カ月前に「持続不可宣告」…監督・規制の空白で予想された事態

AI要約

持続的な販売代金精算の遅延や消費者の払い戻し騒動が拡大する中、電子商取引市場に潜むリスクが浮上。オンラインプラットフォームの特有のリスクが露呈し、問題が予想されていた。

ティモンとウィメプは継続運営可能性が低いと監査意見が示し、流動性危機に陥っている。政府の公的介入が限られ、救済の死角が露呈。規制の空白が事業者にモラルハザードを生じた。

現在、払い戻し支払いは再開されているが、システムの正常化には時間がかかる。ウィメプの危機を克服するための資金調達計画が不足し、ティモン・ウィメプの被害規模が把握されていないなどの課題が残る。

 持続的な販売代金精算の遅延に続き、消費者の払戻騒動が拡大している「ティモン・ウィメプ問題」は、過去数年間で急増した電子商取引(Eコマース)市場に潜むリスクが水面上に浮上したと評されている。オフライン・プラットホームに比べてアクセシビリティと簡便性が優れ、消費者には便利で、中小規模販売者には販路拡大という利点を与える面に潜んでいたオンライン商取引プラットホームに固有のリスクが露呈したという意味だ。予想された騒動だと評されている理由だ。

■監督の死角、救済の死角

 ティモンとウィメプは継続運営可能な企業ではないという「宣告」は、4月にいち早く出ていた。ウィメプの外部監査人である「三逸会計法人」(PwC韓国)が、2023会計年度の監査報告書に「継続企業としての不確実性が高い」とする趣旨の監査意見を明らかにしたのがそれだ。理由は明らかだった。資本より借金が多い「完全資本蚕食」に陥った状況が打開される可能性が低いうえ、流動資産より流動負債が多い点は、いつ何時でも「流動性危機」に陥る可能があるという意味だった。また、営業活動のキャッシュフローが連続して「マイナス」を示していることも、外部監査法人が注目した点だ。営業活動をするほど資金が入ってくるどころか出ていくということは、事業をたたむほうが良い選択だという意味が込められている。

 問題は、これほどの財務悪化状態にもかかわらず、ティモンとウィメプが事業を継続したことだ。金融会社であれば、早々に規制当局が是正措置に入り、上場企業であれば上場廃止審査に入っただろうが、ティモンとウィメプは特別な公的介入を受けなかった。もちろん、金融監督院が2022年からモニタリングを行っていたが、あくまで「協定書」(MOU)に基づく緩い監督だった。問題が発生しても、直接介入や是正を要求する法的根拠がないためだ。金融監督院のイ・セフン首席副院長が25日の会見で「全体図を把握するのが難しく不十分だったことは事実」だとしながらも、「支給決済インフラが適切に運営されているかどうかについては、制限的にみざるをえなかった」と述べたのは、このような理由からだ。

 同じ流れで、顧客の被害が雪だるま式に増加しても、政府が直接立ち上がっての「公的資金投入」や「経営権没収」のような攻撃的な介入は難しい。金融会社であれば、民間企業といってもその会社が崩壊する場合に予想される被害は甚大であるため、政府が税金を財源に公的資金を投入し、財務構造を改善して事業を正常化させることができる。電子商取引企業に公的資金が投入された前例は、国内はもちろん国外にもない。監督・規制の死角地帯であるのみならず、「救済の死角地帯」でもあったわけだ。

 規制の空白は、該当の事業者にモラルハザードに近いものを生じさせた。実際、深刻な財務構造悪化に陥った後も、ティモンとウィメプは大株主による資本注入のような正攻法を選ぶよりも、低価格な手数料率を提示して販売者をかき集めたり、商品券の割引販売営業を拡大していった。販売者や消費者などの顧客に甘い提案を投じる手法を用いて、財務悪化の改善という本質は置き去りにしたまま、体格だけを膨らませる戦略を選んだということだ。この過程で全般的な取引代金が増えるだけに、流動性危機が現実化する場合は被害も雪だるま式に増える構造となる。

■ティモン・ウィメプ、正常化の道はまだ遠い

 現在の払い戻しと遅延した精算代金の支給は、少しずつ再開されている。しかし、システムの正常化までの道は遠いようにみえる。今回の問題の本質的な原因である流動性危機から抜け出せる資金調達計画を、両社とも用意できずにいるだけでなく、正確な事態の現状も会社の中核の経営陣内で共有されないでいるためだ。

 ウィメプのリュ・ファヒョン共同代表はこの日、ソウル市江南区(カンナムグ)のウィメプ本社で記者団に会い、「顧客への払い戻し措置」などに言及しながらも、本来の危機を乗り越えられるかどうかについての中心的な問題については「わからない」と述べた。リュ共同代表は、ウィメプの精算遅延金の規模は400億ウォン(約44億円)だと明らかにしながらも、ティモンとウィメプ双方の被害規模はわからないと述べた。また、ティモン・ウィメプの大株主であるQoo10(キューテン)の電子商取引企業「ウィッシュ」の買収資金についても「よくわからない」と答えた。Qoo10傘下の企業のうちの1社の中心的な経営陣が同じ危機に直面しているが、ティモン側の状況について把握できずにいるのは、Qoo10グループ内での問題解決のための緊密な情報交換がなされていないという意味だと読み取れる。

 このような渦中に、問題解決の中心となる地位にいるQoo10の最大株主のク・ヨンベ氏は、表舞台に登場せずにいる。韓国滞留中である事実が判明しているだけだ。ティモンとウィメプの正常化のためには、何より大株主であるQoo10の出資や資金貸与が急務だ。このような決定のカギを握っているク・ヨンベ氏は、現時点では何の立場を示さずにいる。Qoo10の具体的な財務状況は霧の中にある。

キム・ギョンラク記者、ユン・ヨンジョン記者、ユ・ソンヒ記者、イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )