株のプロが断言する「絶対買っちゃダメな株の1つの特徴」
『株トレ ファンダメンタルズ編』は株の業績や財務の読み方を解説する続編で、60題のクイズを通じて株式投資の技術を学べる。
バランスシートの内訳を通じて、個人投資家が株を選ぶ際のポイントを示唆し、流動比率による財務の安全性を測る方法も紹介している。
財務内容の悪い株を買うことは株式投資で避けるべきであり、業績の変動とは異なり財務内容は簡単に変わらないことが強調されている。
個人投資家の間で大きな支持を集めベストセラーとなった『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』の発売が迫る。前作ではチャート分析を扱ったが、今作は業績や財務の読み方がテーマだ。60題のクイズを通じて「株で勝つ技術」を学べる1冊だ。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
● 『株トレ』のクイズに挑戦!
業績悪化で株価が急落しているA社とB社。将来の業績回復を見込んで買い出動したい。
そこで、バランスシートをチェックしました。自己資本比率はどちらも30%ですが、資産と負債の内訳が違います。
絶対に買ってはいけないのは、どっち?
【ヒント】バランスシートの内訳
・流動資産:原則1年以内にキャッシュ化できる資産。
・固定資産:すぐにはキャッシュ化できない土地、建物、機械など。
・流動負債:1年以内に返済期限がくる負債。
・固定負債:返済期限が1年以上先の負債。
・自己資本:返済の必要なし。
買ってはいけないのはB社。
● B社を個人のバランスシートに置き換えてみると……
企業は資金繰りにつまる(期限までに借金を返済できない)と破綻します。
B社のように、流動負債が流動資産よりも多いと、資金繰りが大変です。
話をわかりやすくするために、B社を個人のバランスシートに置き換えてみましょう。
流動資産=銀行預金、流動負債=返済期限6カ月後の借金、固定資産=自宅マンション、固定負債=住宅ローン(30 年返済)とします。
すると、一目で「これは大変!」とわかるでしょう。
● 流動比率に注目し、財務の安全性を測る
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
流動負債に対する流動資産の比率(流動比率)は、財務の安全性を測る1つの指標です。
流動比率が200%以上ならば資金繰りは安定。流動比率100%以下は資金繰りが大変です。
A社の流動比率
=流動資産80÷流動負債20×100
=400%
B社の流動比率
=流動資産20÷流動負債50×100
=40%
● 絶対買ってはいけない株の共通点
株式投資で、絶対やってはならないことがあります。財務内容の悪い株を買うことです。
業績は変動します。今期悪くても、来期は良くなるかも。だから、業績が悪くて株価が下がっている時は割安に買うチャンスかもしれません。
ところが、財務内容は簡単には変わりません。財務がひどい会社は、少しくらい業績が良くなっても財務内容は悪いまま。最悪、破綻してしまうと、株式の価値はゼロになることもあります。
だから、業績の悪い株を買うのはOK でも、財務内容がひどい会社を買うのは絶対ダメなのです。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)