孤独死と向き合って20年 「孤独死が相次いだ常盤平団地の“いま”」を英紙が取材

AI要約

千葉県松戸市にある常盤平団地地区は、孤独死対策を始めた先駆的な地域である。地域の高齢化と孤独死の増加に直面し、住民たちが積極的に取り組んでいる。

孤独死の現実や警察庁の報告によると、日本では高齢者が一人暮らしの自宅で亡くなるケースが増加しており、孤独死の件数は増え続けている。

常盤平団地地区は歴史があり、人口が高齢化している。地域の取り組みや課題が明らかになっており、社会全体で孤独死対策に取り組む必要性が示唆されている。

孤独死と向き合って20年 「孤独死が相次いだ常盤平団地の“いま”」を英紙が取材

千葉県松戸市にある常盤平団地地区は、2000年代初頭に立て続けに起こった孤独死をきっかけに、日本でもいち早く孤独死対策を始めた地域だ。高齢化が進み、人知れず亡くなる高齢者が急増するこの国で、彼らが実施する最先端の孤独死対策とは──。

「たまに挨拶はしますが、それ以上の付き合いはありません。近所の誰かが亡くなっても、気づかないんじゃないかしら」と、76歳のシカマ・ノリコは言う。

都心への通勤圏にある千葉県常盤平団地で一人暮らしをしているシカマは、ボランティアが出してくれるコーヒーを飲みながら住民たちと情報交換するために、地域の交流の場である「いきいきサロン」を訪れていた。

ここでは、白髪染めの是非のような日常的な議論に混じって、最近の孤独死に関するニュースも話題になる。孤独死とは、正式には「誰にも看取られることなく息を引き取り、一定期間経過後に遺体が発見されること」と定義されている。

今回話に出たのは、ベランダに姿を見せないことに近隣住民が気づき、数日前に遺体が発見された女性の件だ。死後5ヵ月が経っていた。「強烈な臭いがするんです……体に染み付いて、いつまでも消えません」とシカマは言う。

警察庁の最近の報告書によれば、日本では2024年1~3月におよそ2万2000人が一人暮らしの自宅で亡くなっており、その約80%が65歳以上だった。2011年には2万7000件程度だった孤独死の件数は、2024年には6万8000件に達すると、警察庁は推測している。

松戸市の常盤平団地地区は2001年、死後3年間も一人暮らしの部屋に放置されていた男性の遺体が発見されたことで、「孤独死」という悲惨な現象に直面せざるを得なくなった最初の地域である。この男性の場合、家賃も公共料金も自動引き落としで支払われていたため、貯金が底をつくまで、誰も彼の死に気づかなかった。

「部屋の中は、とても人が住んでいるとは思えないような状態でした」と、常盤平団地地区社会福祉協議会の大嶋愛子は語る。「あんな悲惨な事件は二度と起こってほしくありません」

60年以上前に最初の住民が入居したとき、常盤平の4階建ての集合住宅は、戦後日本の奇跡的な経済復興の波に乗った若い家族にとって、夢のような住まいだった。団地の周囲では、スギやケヤキの若木が植えられた並木道で遊ぶ子供たちの声が響いていた。いまやその木々は、日本最大級の公営団地を構成する170棟の画一的な建物の前にそびえ立っている。

「当時は好景気で、家族連れがこぞってこの団地に住みたがりました。活気に満ちていたんです。でもいまでは皆、歳をとってしまいました」。1961年に夫と幼い息子と共に常盤平に移り住んだ大嶋はそう語る。当時、この団地には1万5000人が暮らしていた。

現在、日本では高齢化が進み、晩年を孤独に過ごす人が増えている。国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の一人暮らし人口は、2020年には738万人に達し、2050年には1100万人近くにまで増加すると予測されている。2020年の国勢調査では、独身世帯が全世帯の38%を占め、その5年前の調査から14.8%増加していた。

武見敬三厚生労働大臣は5月、「社会では今後、孤独死の確率は確実に高まっていく。この問題に真正面から取り組んでいくことが重要だ」と述べた。