中国におけるカーボンプレート入りランニングシューズ市場の拡大

AI要約

中国での長距離ランニング熱が高まっており、カーボンプレート入りランニングシューズが人気となっている。

国際的な一流スポーツブランドだけでなく、中国のスポーツブランドもカーボンプレート入りランニングシューズに注力している。

中国製のカーボンプレート入りランニングシューズは価格面で優位性を持ち、将来的に中国市場でさらに支持を得ることが期待されている。

中国におけるカーボンプレート入りランニングシューズ市場の拡大

【CNS】日本での半世紀にわたるランニングブームに対し、中国ではこの10年間で一般市民の長距離ランニング熱が高まっている。中国のランナーたちは積極的にトレーニングし、都市マラソンに参加し、専門的なスポーツ装備に対する熱意を示している。その中でも、カーボンプレート入りランニングシューズは中国市場で人気の商品となっている。

 近年、アシックス(Asics)、ニューバランス(New Balance)、アディダス(Adidas)、ナイキ(Nike)などの国際的な一流スポーツブランドがカーボンプレート入りランニングシューズを次々と発表し、国際マラソンで頻繁に見かけるようになっている。このタイプのシューズは、ランナーのスピードを向上させ、体力を節約するのに役立つ。業界関係者によると、現在PANベースの炭素繊維を生産している主要なメーカーは米国と日本にあり、これらがカーボンプレート入りランニングシューズの核心材料技術を掌握している。

 市場のトレンドに応じて、中国のスポーツブランドもカーボンプレート入りランニングシューズに注力している。例えば、安踏(Anta)の「ナイトロジェン(窒素)技術」、李寧(Li Ning)の「BOOM技術」、鴻星爾克(ERKE)の「『気』技術」などがある。中国のスポーツブランドが新素材、環境保護、低炭素技術に注力する中、特歩(XTEP)の160X、安踏のC202、李寧の「飛電」、361°(361度国際)の「飛飆」、鴻星爾克の「芷境」などのカーボンプレート入りランニングシューズが都市マラソンでの使用率を大幅に上げている。これらのシューズは近年、東京、ボストン、ロンドン、ベルリンなどの世界有名マラソンでも見かけるようになっている。

 しかし、カーボンプレート入りランニングシューズはすべてのランナーに適しているわけではなく、その利点は地面の反作用力が大きいときにカーボンファイバーの反発力が発揮される場合に限られる。業界関係者によると、1キロを4分から4分30秒で走り続けるランナーがカーボンプレート入りランニングシューズのメリットを最大限に活かすことができるとされている。フルマラソンを走る場合は、1キロを5分以内で走り、約3.5時間以内に完走するランナーに適している。

 このような条件のため、多くのランナーがカーボンプレート入りランニングシューズを敬遠している。しかし、一般のランナーも速度やパフォーマンスの向上を望んでいる。そのため、中国の多くのスポーツブランドがカーボンプレート入りランニングシューズの一般向けバージョンの開発に取り組んでいる。これらのシューズは、安定性、幅広の靴型、全体にカーボンプレートを使用しているのが特徴で、材料や製法はトップクラスのカーボンプレート入りランニングシューズには及ばないものの、一般のランナーのニーズに応えている。

 中国ブランドのカーボンプレート入りランニングシューズは、価格面で大きな優位性を持っている。国際的な一流スポーツブランドのカーボンプレート入りランニングシューズは高価格帯に位置している。例えば、ナイキのZoomX Vaporfly Next%3の価格は約1600元(約3万4143円)である。しかし、カーボンファイバーの寿命は限られており、このシューズは約300~500キロしか走ることができない。一般のランナーにとって、1600元も出して300~500キロしか走れないシューズを購入するのは難しい。これに対して、中国製のカーボンプレート入りランニングシューズは価格が魅力的で、例えば2019年に特步が発売した160Xは単価899元(約1万9184円)であり、一時期中国の「ランニングコミュニティ」で大きな話題となった。

 さらに、中国の大手証券会社「国信証券」の2024年4月の報告によると、近年の中国のECプラットフォーム(天猫<Tmall>、京東<JD.com>、抖音<Douyin>)のでのランニングシューズの販売データによれば、200元(約4267円)以下の低価格帯のシューズの販売比率が大幅に減少している。一方、200~400元(約4267~8535円)および600~1000元(約1万2803~2万1339円)の中価格帯および高価格帯のランニングシューズの比率が増加しており、1000元以上のシューズの販売は相対的に安定している。

 市場コンサルタント会社「艾瑞咨詢(iResearch)」の予測によれば、将来的に中国には約3億人の一般ランナーと1億人のコアランナーが存在し、ランニングシューズ市場は数千億元(1000億元が約2兆1339億円)規模に達する可能性がある。ランニングは健康に良いスポーツであり、ますます多くの中国人がランニングを個人のライフスタイルとして取り入れている中で、中国のカーボンプレート入りランニングシューズはさらに多くの支持を得ることが期待されている。これに伴い、関連する産業も技術力を向上させ、中高価格帯市場への取り組みを一層強化していくと考えられている。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。