ガザで続くイスラエル軍の退避命令 支援物資の配送妨げ、最も必要な人に届かず

AI要約

パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍が再び退避命令を繰り返し、住民が大規模な避難を余儀なくされ、緊急支援物資の搬送が困難になっている。

食糧支援不足や医療施設の機能不全、負傷者の急増など、ガザ地区での人道状況は深刻化している。

援助物資の移動が妨げられるなどの問題が生じており、国際社会の支援が急がれている。

ガザで続くイスラエル軍の退避命令 支援物資の配送妨げ、最も必要な人に届かず

(CNN) 国連機関によると、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍が再び退避命令を繰り返していることを受け、住民が昨年10月以来最大規模の避難を強いられ、緊急支援物資の搬送がこれまで以上に困難になっている。

世界食糧計画(WFP)は18日、「多くの配布拠点が閉鎖を強いられた。少数のベーカリーのみが営業を続けている。緊急に食料の配送を増やし、温かい食事を提供できる能力を拡大する必要がある」とXに投稿した。

イスラエル軍は6月下旬から今月上旬にかけて何度も退避命令を繰り返し、ガザ地区で避難を強いられた住民は国連の推計で170万人から190万人に膨れ上がった。

WFPによると、今月に入ってガザ地区の60万人あまりに食料支援を提供し、50万人以上に食品や小麦粉などを提供した。しかしガザ中部と南部では、新たに避難してきた人たちに行き渡るよう、配給の分量をさらに減らす対応を強いられているという。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は17日、援助物資の移動がイスラエル軍に妨げられていると述べ、「そのせいで援助を必要とする数十万人に人道支援を届けられない。北部の西エレズから援助物資を回収することもできない」と伝えた。

一方、ガザ地区への援助物資搬入を統括するイスラエル機関のGOGATはCNNの取材に対し、ワディガザ経由でガザ南部から北部へ向かう車列の移動の中断は認識していないと説明した。

世界保健機関によると、ガザ地区の36病院のうち、部分的に機能しているのは15病院。通常3500の病床のうち、利用できるのは1500床で、うち600床を野戦病院が占める。

ガザ保健省は18日、救急車が不足し、医療従事者がイスラエル軍に逮捕され、ガソリンも不足しているために、救急対応が追い付かなくなったと説明した。基本的な医薬品は約60%が不足しており、特に南部のハンユニスでは多くの医療施設に被害が出ているという。

感染症も拡大し続けて170万人に影響を及ぼし、輸血用の血液も不足している。

国際赤十字委員会は18日、大勢の死傷者が発生する事態が繰り返されたために、南部ラファで赤十字の運営する野戦病院がいっぱいになったと伝えた。13日のマワシ地区に対する攻撃では、子どもたちが破片を浴びて治療が必要なけがを負ったという。

赤十字の医師はこの時の様子について、「大量の負傷者が次々に運ばれてきた。蘇生措置を必要とした患者の数は想像を絶する」と語った。