韓国、主流はハイブリッド車…曖昧な「混種」から市場を揺るがす車種へ

AI要約

ハイブリッド車の売れ行きが好調であり、EVよりも価格が安く充電の手間が少ないため注目を集めている。

ハイブリッド車は燃費が良く、エコカー減税の恩恵を受けられるため、エンジン車よりも人気が高まっている。

さまざまなハイブリッド車の種類があり、適切な車種選択が重要である。

韓国、主流はハイブリッド車…曖昧な「混種」から市場を揺るがす車種へ

 「エンジン車 vs ハイブリッド車 vs 電気自動車」

 今年上半期、韓国で売れた新車に占めるハイブリッド車の割合が初めて20%を突破した。電気自動車(EV)の人気が値段の高さや充電の不便さなどで停滞するなか、ハイブリッド車が代替案として浮上中だ。エンジンと電気モーターの両方を使用するハイブリッド車は、エコカー時代への急激な転換のもとで、EVに比べあまり注目されていなかった。しかし、EVの短所が浮上し始めると、消費者はハイブリッド車の「ハイブリッド」の特徴に魅力を感じるようになった。

 エンジン搭載車より燃費が良く、EVより価格が安くて充電における不便さが少ない。EVの短所を解決するには時間がかかるとみられており、当面はハイブリッド車の時代が続く可能性が高い。ハイブリッド車は駆動方式によって3種類あり、通勤路に急加速区間が多いかどうかなどの運転状況に応じて、燃費も変わる。普段の走行条件を確認した後、自分に合う車種を選ぶべきだというのが、専門家の助言だ。

■「主流」はハイブリッド車

 14日の「CARISYOU(カーイズユー)データ研究所」の分析によると、今年上半期の韓国におけるハイブリッド車(商用車を除く)の新車登録台数は18万7903台で、昨年同期比で24.3%増加した。新車全体に占めるハイブリッド車の割合は22.9%。この割合が20%を超えたのは、半期ベースでは今年上半期が初めて。上半期における韓国での販売台数の1~5位のモデルは、いずれもハイブリッド型を選べるタイプだった。起亜のソレント、起亜のカーニバル、現代自動車のサンタフェ、起亜のスポーテージ、現代自動車のグレンジャーなどだ。

 国外でもハイブリッド車は人気だ。昨年の主要14カ国(米国、欧州、中国など)でのハイブリッド車の販売台数の増加率(前年比)は30%で、EV(プラグインハイブリッド車を含む)の増加率(28%)を上回った。2019年から爆発的に成長してきたEV市場が昨年から停滞期に入った反面、ハイブリッド車市場が拡大しているかたちだ。

■エンジン車よりも25~39%燃料を節減?

 ハイブリッド車は価格水準もエンジン車とEVの中間段階に位置する。ハイブリッド車は購入補助金が2021年に廃止されたが、エコカー減税の恩恵は受けることができる。たとえば、起亜のソレントの場合、エンジン車の基本価格は3506万ウォン(約400万円、2.5リットル・ガソリン・ターボ・プレステージ基準)だが、ハイブリッド車は最も基本的なモデルが3786万ウォン(約430万円、1.6リットル・ターボ・ハイブリッド・プレステージ基準)だ。その代わり、似た形の中型のSUVのEV(4000万ウォン台半ば~後半以上)に比べると価格は安い。

 ハイブリッド車がエンジン車より多少高くてもよく売れるのは、燃費(自動車の燃料あたりの走行距離の割合)のためだ。電気モーターがエンジンを補助するため、燃料が少なく済む。基本駆動方式は、発車と低速走行時は電気モーターだけが稼働し、加速時は電気モーターとエンジンが同時に動く。定速走行時はエンジンまたはモーターが稼動し、減速時にはエンジンが停止し、回生ブレーキシステムを通じて、電気モーターがブレーキ時に発生するエネルギーを回収してバッテリーに充電する。2017年の韓国自動車工学会の論文集によると、亜洲大学機械工学科の研究チームは、ハイブリッド車を1年間使用する場合、燃料節減効果はエンジン車に対して25~39%だという分析結果を発表した。

 もちろん、燃費は運転者の運転習慣に応じて変わることを考慮しなければならない。ハイブリッド車は、エンジンを少なく使い電気モーターで長い距離を走るほど、燃費が高まる。すなわち、急発進または急加速を多くすることになれば、ガソリンを使うエンジンの稼働が増え、燃費が落ちることになる。5年間ハイブリッド車を使っているKさん(44)は「一般のガソリン車よりも車の価格は多少高いが、静かさや駐車場割引などのさまざまな恩恵は満足できるほう」としながらも、「1年に1万キロほど乗っているが、長距離通勤者でないなら、高い経済性を確保することは難しいと思う」と述べた。

■「フル vs マイルド vs プラグイン」

 ハイブリッド車は細かく種類が分かれる。最も一般的な方式がフルハイブリッド(HEV)だ。エンジンと電気モーターが発車、加速、減速の際に適切に役割を分担して動く基本駆動方式を備えている。起亜のソレントのハイブリッド車や現代車のグレンジャーのハイブリッド車などの代表的なモデルは、すべてHEV方式を用いている。マイルドハイブリッド(MHEV)方式は、HEVに比べると電気モーターの役割が少ない。エンジンが主な役割を果たし、電気モーターの力だけでは走行は不可能だ。電気モーターはエンジンの負担を減らす補助的な役割だけを担う。エンジン車に近いハイブリッド車であるため、エコカー減税も受けられない。MHEV方式は主に輸入車でみられる。欧州の自動車企業などが排出ガス規制にすみやかに対応するため、構造が単純なMHEV方式を多く導入しているためだ。韓国車のなかでは、現代自動車の高級ブランドであるジェネシスにMHEVのモデルが存在する。

 プラグインハイブリッド(PHEV)方式はEVに最も似ている。HEVより容量が大きいバッテリーを搭載し、電気モーターだけで平均40~60キロメートルの走行が可能だ。EVと同じくバッテリーも外部電源から充電する。PHEVは走行時にはバッテリーの電気を先に使った後、エンジンを稼働させる。このため、居住地にEVの受電設備があり、短距離の頻繁な消費者に適合した車だとされる。この方式も主に輸入車に多く用いられている。現代自動車・起亜も過去に韓国で関連モデルを出したが、現在は国外だけで販売している。

 烏山大学のムン・ハクフン教授(未来電気自動車学科)は「エンジン車からEV時代に転換する過渡期においては、ハイブリッド車が連結点になるだろう」としながらも、「ハイブリッド車の強みは燃費だ。エンジンの稼働が増えるほど燃費が落ちるため、通常の走行条件をよく調べる必要がある」と述べた。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )