F87型からの「明確な進化」を体感! BMW M2 長期テスト(2) CLARが生む動的な熟成度

AI要約

BMW M2は長期テストで登場し、早起き日が増えた。交通量の少ない道を楽しみたいが、サウンドモードの設定には要注意。

G87型のBMW M2にはいくつかの弱点があるが、進化を遂げている。スタイリングは一部凝りすぎるが、BMWらしさは強い。

M2の走りは驚くほど安定しており、燃費も評価に値する。パワーやサイズのバランスが優れている。

F87型からの「明確な進化」を体感! BMW M2 長期テスト(2) CLARが生む動的な熟成度

BMW M2が長期テストでやって来てから、早起きする日が多くなった。交通量の少ない道を走りたいから。M2には、聴き応えのあるサウンドを控えめにするモードが付いている。まだ眠っているご近所さんのために。

しかし、モード次第ではデフォルトで爆音にもできる。スタートボタンを押すと、大げさなほど回転数を高めて直6エンジンが目覚める。設定したことを忘れていると、宵越しの不良少年のようになってしまう。

確かに、G87型のBMW M2には指摘すべき弱点がある。乗り心地はあまり良くない。スタイリングも、先代以上にカッコイイとはいえないだろう。車重は230kgも増えた。全長は約120mmも長くなった。

それでも、BMWは目的を達成したといえる。F87型からしっかり進化している。それを再確認するため、今回は筆者、ジョナサン・ブライスがカギをお借りした。

ボディの見た目は、主観を排除し判断すれば、失敗とはいえない。写真以上に、実写を目の当たりにするとバランスは良い。BMWにしか見えないし、ライバルより新鮮さは長く続くように思う。部分的に、凝り過ぎなディティールはあるとしても。

スリムなライト類を除いて、F87型からの流れを組んだ、保守的なスタイリングでまとめることもできたはず。だがBMWは安全パイを取らなかった。

実際の走りに関しては、出発する前は期待と不安が入り混じっていた。初日は生憎の大雨。ちょうどラッシュアワーにも重なった。最高出力459psを発揮するFRのクーペで、200km先のドニントンパーク・サーキットを目指すのに、好条件とはいえなかった。

しかし、走り出してすぐに不安は蒸発した。交通量が多く、雨が降る高速道路の長距離移動でも、最後まで快適。1度の満タンで、往復400km以上の旅をこなしてくれた。

燃費は平均で10.3km/Lと、2桁に届いた。特に、右足を控えめに倒していたわけではない。むしろ、ZF社製の8速ATを駆使し、56.0kg-m/2650-5870rpmという最大トルクを味わった場面もあったほど。

M2は、公道では出し切れない最高出力を秘めた、3.0L直列6気筒ターボエンジンのスポーツカーだ。10.0km/L以上の効率は、評価に値するだろう。

路面を問わず、安定感が高いことも特筆すべき点。積極的に運転しても、落ち着きは乱さない。これ以上のパワーやサイズが本当に必要なのか、疑問に思えたほど。

視界が浅くなるような激しい雷雨でアスファルトが濡れても、機敏な身のこなしは変わらず。スピンするような気配はなかった。

この落ち着きを生んでいる理由は、ひと回り大きいM4と共有する、CLARプラットフォームを基礎骨格とすること。動的な熟成度は高い。