中国共産党の重要会議「3中総会」が15日開幕 人口減、不動産不況など経済改革が焦点

AI要約

中国共産党が中長期の経済方針を議論する第20期中央委員会第3回総会を開催。人口減少や不動産不況などの課題に直面し、中国式現代化を具体化して経済課題を解決する改革が焦点。

少子化による幼稚園の減少や不動産市場対策、税・財政改革の必要性に注目。持続的な年金制度構築や法定定年退職年齢の引き上げも検討される。

中国式現代化の推進や技術革新、サプライチェーン強化などの戦略で米国との対立長期化をにらむ。外相解任の秦剛氏の人事も注目。

中国共産党の重要会議「3中総会」が15日開幕 人口減、不動産不況など経済改革が焦点

【北京=三塚聖平】中国共産党は、中長期の経済方針を討議する重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を15~18日に北京で開く。人口減少や不動産不況といった経済・社会課題が深刻化する中、党指導部が掲げる西側諸国と異なる発展モデル「中国式現代化」を具体化させて経済課題の解消につなげる改革を打ち出すかが焦点だ。

■1年間で幼稚園1万5000カ所が減少

「4月末に1年分の学費1万5000元(約33万円)を払ったばかりなのに…」

北京に隣接する河北省廊坊(ろうぼう)でシングルマザーの40代女性が嘆いた。5月、女性の息子が通う幼稚園から突然「潰れることになった」と連絡があり、抗議しても「銀行口座に1元も残ってない」と開き直られた。少子化で園児が減ったことに加え、経営難を補う副業に失敗しての閉園だった。

地元当局に掛け合うと追加費用不要で近隣の幼稚園に転園できたが、そこも園児減で経営状況に余裕はないという。「ここ数年で廊坊の幼稚園が次々と潰れている」と女性は指摘する。

中国紙、第一財経日報(電子版)によると、2023年だけで中国全土の幼稚園数は約1万5000カ所も減った。主因は少子化だ。

■不動産対策、税・財政改革など注目

中国の総人口は22年から減少に入った。13年の第18期3中総会で「一人っ子政策」の緩和を決め、16年には廃止したが将来の成長鈍化に直結する人口減に歯止めはかかっていない。不動産不況が長期化する中、投資頼みの経済成長モデルにも限界が来ている。

3中総会では不動産市場に関する追加対策や、地方財政悪化に対して中央から地方への財源移譲といった税・財政改革の方向性が示される可能性が指摘されている。持続的な年金制度の構築や法定定年退職年齢の引き上げへも注目される。

■米国との対立長期化をにらむ

中心的な議題となるのが中国式現代化の推進で、共産党の経済や社会への統制強化を前提とする中国独自の発展モデルだ。その下で「新質生産力」を掲げて技術革新を急ぐほか、サプライチェーン(供給網)の強化を打ち出し、米国との対立長期化をにらみ、科学技術の「自立自強」を進める見通しだ。

■外相解任の秦剛氏の人事も