中国「3中全会」が15日から開催、改革強調でも具体策は期待薄か

AI要約

第20期中央委員会第3回全体会議が中国で開催予定であり、経済の低迷に対処するために数々の野心的な目標が提示される見通し。

しかしながら、目標には矛盾があり、実際の政策運営には困難が伴い、市場や国際社会からの失望が招かれる可能性がある。

経済改革、構造転換、外資誘致など、中国政府が直面する課題や取り組みが広く議論されている。

中国「3中全会」が15日から開催、改革強調でも具体策は期待薄か

Kevin Yao

[北京 11日 ロイター] - 中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が15─18日に開催される。

共産党指導部は、経済が長期低落局面に入るのではないかとの懸念を払しょくするため、数々の野心的な目標を打ち出す見通し。

複数の政策アドバイザーによると、3中全会では(1)先端技術工業の振興(2)債務リスク軽減に向けた税制改革(3)不動産危機対応(4)国内消費喚起(5)民間活力の再生――といった項目についての取り組みの概要が示される。

ただ成長を押し上げながら債務圧縮を目指すなど各目標の方向性に矛盾が生じるため、実際の政策運営の大幅な軌道修正にはつながらず、経済構造の抜本的な改革を求める市場や国際社会の失望を招きそうだ。

これまでも指導部は、経済におけるさまざまな課題をどのように解決できるか明確な道筋を提示できていない。

政策アドバイザーの1人は「複数のリスクが重なり合っている。つまり高齢化の進行や不動産バブル(の破裂)、地方政府の債務リスク、金融リスクがあるので、改革は必要になる。だがその実行は非常に難しいだろう」と認めた。

中国政府は2035年までに経済規模を2倍にしたい考えで、そのためには年平均4.7%の成長が求められるが、実現可能との見方は乏しい。国際通貨基金(IMF)も、昨年5.2%だった中国の成長率は29年までに3.3%に鈍化すると予想する。

2人目の政策アドバイザーは「新たな成長エンジンを解き放たなければならない。改革なしでは、経済はIMFの見通し通りに減速する公算が大きい」と危機感をにじませた。

多くのエコノミストが提唱するのは、輸出や借金に基づいた投資に依存する経済構造を消費主導に転換すること。指導部も13年にこれを約束したものの、今なおほとんど進展していない。このような構造転換には、社会保障や賃上げを通じて政府・企業から家計に資源を移転しなければならないが、それは債務圧縮や先端技術工業の発展という目標達成にとってはマイナスとなる。

都市部と農村部の格差を助長してきた「戸口(戸籍)」制度の廃止や、世界で最も低い定年退職年齢の引き上げも議論されているとはいえ、いずれも社会情勢を不安定化させかねない改革だ。

中国政府が掲げる外資の積極的な呼び込みについても、不当な拘束や国家安全保障関連の厳しい法令、国内企業への過度な優遇措置などが外国企業にネックとなっている。

キャピタル・エコノミクスのチーフ・アジア・エコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、結局3中全会で「改革に関する膨大な約束を打ち出すが、その後(具体的な)実行策は何も提案されず、それぞれの改革の優先順位も、矛盾緩和の対策も出てこないだろう」と予想した。