「青瓦台より安全」豪語した韓国大統領室、米盗聴問題でセキュリティ強化に10億円

AI要約

韓国大統領室が米国情報機関の盗聴・傍受疑惑により警護・警備システムの強化を図るために追加予算を配分された経緯が明らかになった。

盗聴疑惑が持ち上がった後に大統領室はセキュリティの強化を強く主張し、事後措置を取るに至った。

大統領室の移転に伴う費用が毎年増加しており、予備費において86億6600万ウォンの追加配分が行われた。

 韓国大統領室が昨年、警護・警備システムの強化を理由に企画財政部から予備費86億6600万ウォン(約9億9500万円)を新たに配分されたのが、国家安保室に対する米国情報機関の盗聴・傍受疑惑が持ち上がった後だったことが明らかになった。疑惑が浮上した当時、大統領室は「青瓦台より龍山(ヨンサン)大統領室のセキュリティがより強力だ」として、盗聴・傍受疑惑を否定したが、実際には問題発生を受け一歩遅れて事後措置に出たわけだ。

 11日、野党「共に民主党」のチョン・ソンホ議員室が企画財政部から受け取った答弁資料によると、企画財政部は昨年予備費を追加で配分した経緯を「2023年上半期、マスコミで大統領室に対する盗聴・傍受疑惑が持ち上がった後、警護処と予備費について協議してきた」と説明した。米国情報機関による盗聴・傍受疑惑が予備費の追加配分の原因になったという意味だ。

 昨年4月、海外のソーシャルメディアには米国情報機関のウクライナ戦況関連機密文書が数多く流出した。その中には昨年3月、キム・ソンハン当時国家安保室長とイ・ムンヒ当時外交秘書官が「ウクライナに砲弾を供与してほしい」という米国の要求について話し合う内容が詳細に綴られた文書も含まれていた。ニューヨーク・タイムズなど米国メディアはこの情報の出所が「シギント」(通信、電磁波、信号などの情報)、すなわち盗聴・傍受を通じて獲得した情報だと報じた。

 これに対し野党から「大統領室のずさんな移転でセキュリティ上の重大な事故が起きた」という批判が殺到したことに対し、大統領室は「青瓦台より大統領室のセキュリティがより強固だ」と強く反論した。当時、大統領室の主要関係者は記者団に対し、「庁舎のセキュリティ問題は移転当時から完璧に準備しており、これまで何の問題もなかった」とし、「青瓦台時代のバンカーは地上に突き出ており、セキュリティや保安については龍山の方がより安全だ」と主張した。

 だが、このような疑惑が持ち上がってから5か月後の同年9月、大統領警護処は86億6600万ウォンの予備費を追加で配分され警護・警備システムの強化に乗り出した。政府はこのうち約24億ウォン(約2億8千万円)を昨年使い、約54億8500万ウォン(約6億3千万円)を今年に繰り越した。約7億3600万ウォン(約8500万円)は不用額として処理した。

 大統領室の移転に伴う費用は毎年増えている。尹大統領は当選者時代の2022年3月、大統領室の移転に「496億ウォン(約57億2600万円)を要する」と述べたが、これまで明らかになった予備費だけで639億5872万ウォン(約73億8400万円)に達する。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )