カントリー音楽が絶賛バズり中...大復活のカギはビヨンセ、「踊ってみた」、コロナ禍、Z世代

AI要約

カントリー音楽が大復活を遂げ、新たなアーティストたちが注目を集める中、黒人女性アーティストのビヨンセがカントリーチャートで初登場1位を獲得したことや、カントリーミュージシャンたちの活躍が際立っている。

近年のカントリー音楽の人気は急激に高まっており、黒人ミュージシャンやクィア、トランスジェンダーなど様々なアーティストがジャンルの多様性を広げ、新たな展開を見せている。

カントリー音楽の歴史と未来において、多様性と包括性が重要であり、アフリカの音楽的要素がルーツとして継承されていることが指摘されている。

カントリー音楽が絶賛バズり中...大復活のカギはビヨンセ、「踊ってみた」、コロナ禍、Z世代

カントリー音楽が大復活を遂げている。動画投稿アプリのTikTok(ティックトック)でバズる楽曲が立て続けに登場するなど、カントリーの人気は高まるばかりだ。

ビヨンセが2月にリリースしたシングル「テキサス・ホールデム」は、ビルボード・チャートのカントリー部門で初登場1位を獲得。黒人女性アーティストがカントリーチャートの1位に輝いたのは初めてだ。3月29日にはこの曲を含むアルバムも発売された。

ラナ・デル・レイも、9月に発売予定のアルバム『ラッソ』でカントリーに挑戦することを発表。「音楽業界はカントリー化している」と語っている。3月15日には、カントリーミュージシャンのケイシー・マスグレイブスが待望のアルバム『ディーパー・ウェル』を発売した。

ほかにもヒットチャートには、ノア・カーン、レイニー・ウィルソン、ザック・ブライアンなど、新しいカントリーやフォークのアーティストが名を連ねている。

ルミネート社のデータによると、カントリー音楽は昨年、アメリカの音楽配信サービスで最も成長したジャンルだ。オンデマンドの楽曲再生回数は前年から23.7%増えて、200億回を突破した。

カントリーが音楽界を席巻しつつあると言っても過言ではない。しかし、カントリーは最近生まれたジャンルではないし、これまで批判的な見方をされることも多かった。

カントリー音楽は、アフリカとヨーロッパの2つの音楽的伝統の流れをくむが、今日はおおむね白人の音楽と見なされることが多い。これは、1920年代に音楽業界が人種別に音楽ジャンルを分けて以来の傾向だ。

シンガーソングライターのカイア・ケイターによれば、カントリーは長く白人以外を排除してきたが、ビヨンセのようなミュージシャンがその状況を変えつつある。黒人ミュージシャンが多様な音楽ファンを引き付け始めたことが最近のカントリー人気の背景にあると、ケイターは言う。

「歴史的にカントリーは白人のジャンルだった。白人以外を排除してきたと言ってもいい。そうした状況はカントリーの歴史に真っ向から反する。あまり知られていないけれど、カントリーは黒人の間で始まった音楽だから」

「カントリーは全ての人のための音楽だと気付く人が増え始めた。黒人ミュージシャンは、『なぜ(白人の)音楽をやるのか』ではなく、『このジャンルにおける黒人の歴史と、多様性のある未来について聞かせてほしい』と言われるようになった」

トランスジェンダーであることを公表しているカントリーミュージシャンのライアン・カッサータも、そうした変化を指摘する。「クィアやトランスジェンダー、全てのマイノリティー」のためにカントリーのジャンルを取り戻そうとしているミュージシャンたちがいると、カッサータは語る。

「カントリーの未来は、クィアにある。トランスにある。黒人にある。カントリーの未来は、マイノリティーと抑圧されている人々のものだ。カントリーの歴史は、そうした要素と切り離すことができない。アミリ・バラカの古典的著作『ブルース・ピープル』(邦訳・平凡社ライブラリー)も述べているように、アメリカのあらゆるポピュラー音楽のルーツは、アフリカからやって来た人たちにある」