トランプ氏の免責特権を一部認めた最高裁、他の刑事裁判にも影響か…バイデン氏「危険な前例だ」

AI要約

米連邦最高裁はトランプ前大統領の起訴を巡り、公的行為は刑事訴追を免れると判断し、審理を下級審に差し戻した。

トランプ氏は免責が認められたと述べ、バイデン大統領は危険な前例として反発した。

最高裁の判断に対し、保守派とリベラル派の判事の意見が分かれた。

 【ワシントン=池田慶太】米連邦最高裁は1日、共和党のトランプ前大統領が2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された事件について、大統領在任中の公的行為は刑事訴追を免れるとの判断を出し、審理を下級審に差し戻した。

 審理差し戻しで、公判開始は11月の大統領選後にずれ込むことがほぼ確実となった。すべての行為に免責が認められると訴えるトランプ氏の主張が一部認められたもので、トランプ氏は自身のSNSに「我々の憲法と民主主義にとって大きな勝利だ」と投稿した。

 一方、バイデン大統領は1日にホワイトハウスで演説し、「大統領の権限が法律による制約を受けなくなるため、危険な前例だ。米国の法の支配を損なう」と反発した。

 対象となったのはトランプ氏が起訴された四つの刑事事件のうちの一つで、21年の米連邦議会占拠事件に絡んで支持者に選挙不正の虚偽の主張をしたことなどが罪状に含まれる。

 最高裁は1日に発表した意見書で、憲法が定めた大統領権限の「中核」となる公的行為には、刑事訴追からの「完全な免責」が与えられると結論づけた。一方で私的行為は免責されないと判断した。その上で、起訴内容がどちらの行為であるかを明確にするため、審理を下級審に差し戻した。

 最高裁の9人の判事のうち、保守派の6人全員が判断を支持し、リベラル派3人が反対した。リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事は反対意見で、「大統領は法を超越した王となった」と痛烈に批判した。