中国返還から27年の香港、今年も民主派デモなし…親中派は愛国を盛んにアピール

AI要約

香港政府は、中国への返還から27年を迎え、愛国者による統治を強調しました。

政府は一国二制度の成果を強調し、国安法と国家安全条例の功績を称賛しました。

国家安全維持法による取り締まりが影響して、民主派のデモは行われず、親中派が返還27年を祝うムードで活動しました。

 【香港=鈴木隆弘】香港は1日、中国に返還されてから27年となった。香港政府トップの李家超行政長官は記念式典で香港の統治を改善したと主張し、「愛国者による香港統治を全面的に実行した」と強調した。民主派の活動は抑え込まれた一方で、親中派は愛国を盛んにアピールした。

 李氏は1日、香港の高度な自治を保障する「一国二制度」の成果を記した約1万字の文書も公表した。習近平(シージンピン)国家主席らから求められた「愛国者による香港統治の実行」に5回も触れ、習氏の負託に応えたと明示したかった模様だ。

 香港では反体制活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)に加え、同法を補完する国家安全条例も3月に施行された。李氏は文書で「(二つの法令が)国家の安全を守り、長期の安定と繁栄に大きな効果がある」と主張した。

 李氏は「国を愛し、香港を愛する新しい世代の後継者を養成する」とも強調した。香港政府は4月、愛国主義教育工作グループを組織した。学校教育や地域社会、メディアなどの分野で今後活動を展開する方針だ。

 返還記念日の恒例となっていた民主派団体の大規模デモは今年も行われなかった。国安法による取り締まりが影響している。

 香港中心部の公園には親中派団体が続々と訪れ、国旗を振ったり、国歌を歌ったりして返還27年を祝っていた。中国政府から香港にジャイアントパンダ2頭が贈られることも明らかにされ、祝賀ムードを演出した。