加速する「中国化」 沈黙の香港返還27年

AI要約

香港が英国から中国に返還されて27年が経過し、国家安全維持法の施行や一国二制度の形骸化が問題となっている。

李家超行政長官は国家安全条例を重要な一里塚と位置付けており、反政府デモの封じられた状況や祝賀ムード、ジャイアントパンダ2頭の香港への送付が行われるなど、混沌とした情勢が続いている。

香港政府と市民は米国や西側諸国の圧力にも抵抗し、国家の後ろ盾であることを自認している。

 【香港時事】香港が英国から中国に返還されてから、1日で27年となった。

 香港では今年3月、中国主導で2020年に制定された国家安全維持法(国安法)を補完する国家安全条例が施行され、社会統制が強化された。政府を批判する声は厳しく抑え込まれ、「中国化」が一段と加速している。

 香港では「一国二制度」の下、1997年の返還から50年間は外交と国防を除く「高度な自治」が保障されている。しかし、同制度は形骸化が進んでおり、言論の自由の後退などに国際社会の懸念が高まっている。

 香港政府トップの李家超行政長官はこの日公表した文書で、国安条例施行について「一国二制度の実施プロセスでの重要な一里塚」と主張。同制度を通じ、「米国や一部の西側諸国がわが国の平和的発展を抑制しようとも、香港は国家の後ろ盾と市民の努力で力強く成長している」と訴えた。

 香港では例年、7月1日に民主派団体が大規模デモを行い、行政長官の「普通選挙」などを求めてきた。しかし、近年は新型コロナウイルス対策や取り締まり強化で封じられており、今年も実施されなかった。

 香港当局はこの日、約4000人の警官を配置し、反政府的な言動への警戒を強化した。一方で、博物館を無料開放するなど祝賀ムードを演出。また、中国政府が近く、ジャイアントパンダ2頭を香港に送ることも明らかにした。