「LINE問題、『反日フレーム』を越えてこそ解決策が見える」

AI要約

日本の代表的なメッセンジャーアプリ「LINE」の運営会社であるLINEヤフーが、日本の総務省の行政指導に対する報告書を提出しなければならない日付(7月1日)が3日後に迫っている。LINEヤフーは27日、ネイバーとのネットワーク分離を2026年3月頃に完了する方針を明らかにした。

総務省が行なった2回目の行政指導に、ネイバーの持ち分売却要求が含まれ、これにより韓国社会では反日感情が高まった。一方で、専門家は問題の複雑性と重要性について指摘している。

総務省の行動や韓国政府の対応を振り返りつつ、今後の対応やアプローチについて検討する必要がある。

「LINE問題、『反日フレーム』を越えてこそ解決策が見える」

 日本の代表的なメッセンジャーアプリ「LINE」の運営会社であるLINEヤフーが、日本の総務省の行政指導に対する報告書を提出しなければならない日付(7月1日)が3日後に迫っている。LINEヤフーは27日、ネイバーとのネットワーク分離を当初の計画より9カ月早い2026年3月頃に完了するという方針を明らかにした。ネイバーとLINEヤフーの決別がスピードアップしている。

 総務省が4月に行なった2回目の行政指導に、事実上ネイバーの持ち分売却要求が含まれていた事実が発覚した後、韓国社会の反応は熱くなった。この過程で、日本政府が不当に韓国企業を追い出そうとしているという反日感情寄りの主張が沸き起こった。大邱大学のキム・ヤンヒ教授(経済金融学)は、このような事態の展開にもどかしさを抱く韓日経済関係の専門家の一人だ。「国益」というフレームがあまりにも大きく作動し、LINEヤフー問題の本質を見失っているということだ。24日、ソウル孔徳洞(コンドクドン)のハンギョレ社屋でキム教授と会い、LINEヤフー問題の展開過程に対する見解と今後の見通しを聞いた。以下は一問一答。

-「LINEヤフー問題」騒動をどのようにみるか。

 「日本に対する根深い不信感が反日感情にやすやすと点火された。LINEヤフー問題が「韓国企業強奪」という単純なフレームに固められ、多様な議論につながらなかったとみている。これには専門性の足りなさという問題もある。今回の問題の理解には、日本語をはじめ経済安保、情報セキュリティ、情報技術など様々な分野に対する理解が必要だ。韓国にこのような専門家が多くなく、この点は政府も同じだったと思う。韓日の経済専門家として私自身も反省する」

-資本関係の見直しなど強硬な要求を出した理由は何か。

 「LINEは日本で9600万人が使用する代表的なメッセンジャーアプリだ。質的な面でもLINEが日本社会で持つ影響力は大きい。日本企業や地方自治体など46万カ所が内部のコミュニケーションのチャンネルとしてLINE(LINEワークス)を使っている。このようなLINEで、個人情報流出事故が繰り返し起きた。2021年の事故当時、日本社会は大騒ぎになった。日本当局は度々LINEヤフーに対策作りを要求したが、まともに進展しなかった」(LINEヤフーのセキュリティシステムはネイバーが担当している)

-民間会社に対する日本政府の過度な介入という見方もある。

 「資本関係の見直し要求が適切かどうかの前に、LINEヤフーが持つ特殊性を理解する必要がある。この会社は2022年に制定された経済安全保障推進法(経済安保法)により、総務省が管轄する「特定社会基盤事業者」に指定された。これには日本の移動通信社・放送局も含まれる。『経済安保』という枠にLINEヤフーが含まれているという話だ」

-毎日新聞は21日、自民党の甘利明経済安保推進本部長が3~4月にソフトバンクの孫正義会長と会い「LINEインフラの日本化」を注文したと報道した。(ソフトバンクはLINEヤフーの親会社であるAホールディングスの株式の半分を保有している)

 「まさに甘利本部長が経済安保法を設計した張本人だ。このような人物が「LINEの日本化」を孫正義会長に要請したのは注目に値する流れだ」

-日本政府の次の行動は何だろうか。

 「今年5月に公布した『重要経済安保情報保護活用法』(重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律)に注目しなければならない。日本は徐々に経済安保という観点で様々な制度的枠組みを強化してきている。この法には外国人が日本国内の機密情報など主要データに接近する場合、禁止も可能な内容が含まれている」

-韓国政府が今回の問題を「外交問題」に広がることを懸念して消極的な対応に留まったという指摘があった。

 「韓国政府の一連の対応を見て、政府がこの事態の全貌を理解しているのか疑わしかった。韓国政府は株式売却を要求する日本総務省に対する対応にとどまった。今回の問題を招いたLINEヤフーのセキュリティ事故に対する共同調査を行ったり、再発防止のための協力の機会を逃してしまった。特に(韓国の)個人情報保護委員会が日本の個人情報保護当局の協力要請を受け入れず、何の返答もしなかったのは、このような脈絡からみると残念なことだった」

-今回の問題で教訓を見出すとすれば。

 「LINEヤフーのようにグローバル企業の個人情報流出事故はいつでもどこでも起こる可能性がある。特にデータの国境移転のような敏感なイシューは、韓日だけでなく他の国ともいつでも発生しうる。このような潜在的なリスクを乗り越えるための構造的かつ制度的なアプローチが必要だ。最低限、韓日間の相互協力を通じて個人情報流出事故に対するアプローチと解決法に関する原則を樹立する話し合いが進められることを願う。同時に韓米日またはIPEF(インド太平洋経済枠組み)など、ミニラテラルな協議の枠組みを活用し、再発防止のための制度や政策の構造を作ることもできる」

-今後何が話し合われるべきか。

 「まず、ネイバーとソフトバンクの両企業間の問題という認識の枠組みを越えなければならない。ネイバーという個別企業の事案ではない局面に転換されたにもかかわらず、ネイバーの立場表明ばかりを待っていた政府の対応が繰り返されてはならない。このようなことが韓国で起きるケースにおいても適用可能な代案を考えなければならない。民間会社の所有ではあるが多くの国民が使うプラットフォームが生成するデータの持ち主は誰なのか、『プラットフォーム主権』は存在するのか、同じ脈絡で、民間所有ではあるがその性格上公共的な意味が濃厚な場合、政府はどのように扱うべきなのかなどを話していかなければならない」

パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)