すぐ真後ろを尾行「刺すように見つめてくる」...反体制派をつけ回す、当局による「執拗すぎる追跡」

AI要約

ウクライナ戦争勃発後、ロシア人女性マリーナ・オフシャンニコワが政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げて抗議活動を始める。

彼女は国内で迫害を受けながらも、プロパガンダに加担するメディアの闇を暴露し、危険を冒してジャーナリズムの戦いを続ける。

監視されていることに気づいたマリーナは、当局の捜査が疑われ始める。

すぐ真後ろを尾行「刺すように見つめてくる」...反体制派をつけ回す、当局による「執拗すぎる追跡」

 「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。

 ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。

 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。

 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第34回

 『「4歳の少女が砲撃でバラバラに」...抗議活動を決行した女性のもとに15分で駆けつける、ロシア当局の「ヤバすぎる監視の真実」』より続く

 2日後、わたしは監視されているのに気づいた。居住区の外の空き地にグレーのラーダが停まっていて、中には2人の男がいた。

 ザフヴァトフに電話した。

 「怪しいグレーのクルマが門の外にいます。チェックできる?」

 番号を伝えた。すぐザフヴァトフが折り返してきた。

 「やはり、当局のクルマですね」

わたしは遮断機脇の鉄製の小さなボックスにいる警備員のところに行った。

 「あの門の外の怪しいクルマ、何か知ってますか?」

 「もう2日、ここにいますよ。見張りをしているんです。クルマはいつも代わっています。あなたを見張っているんですよ、マリーナさん」警備員は薄笑いを浮かべた。「彼らのところに行って、尋ねてみたんです」