制裁下のロシア、親露国に連携呼びかけ…「国際経済フォーラム」米欧は参加せず

AI要約

プーチン政権主催の国際経済フォーラムが開催され、米欧の不参加を受け、中国や他の親露国が目立った。プーチン大統領は友好国との経済関係の重要性を強調し、米欧の制裁を相対化した。

中国が存在感を示し、中露関係の緊密さをアピール。また、ロシアはアフガニスタンのタリバン指導部の招聘など対外的な動きも見せた。

かつてはダボス会議に匹敵するフォーラムだったが、近年は米欧の参加が激減し、ロシアの孤立が浮き彫りになった。

 ロシアのプーチン政権が各国の投資を呼び込む場として知られてきた「国際経済フォーラム」が、露西部サンクトペテルブルクで5~8日に開かれた。ウクライナ侵略の影響で米欧各国が軒並み参加せず、中国やアフリカ諸国など侵略を非難しない「親露国」の参加が目立った。ロシア側には、制裁下の経済安定のため、関係の多角化をはかる狙いがあるとみられる。

 プーチン大統領は7日の全体会合での演説で、「ロシアの貿易総額の4分の3は(制裁に加わっていない)友好国が占める」と述べ、米欧による経済制裁の影響は限定的だとの考えを強調した。欧米各国を「覇権主義的」と非難し、訪れたアジア、アフリカ、中東の国々との経済連携を呼びかけた。

 存在感を示したのは中国だ。中露関係をテーマにした6日の会合には両国の政府高官らが参加した。中国の張漢暉駐露大使は、中国の自動車や家電製品、ロシアのアイスクリームなど食品の輸出が好調だとし、「中露関係は緊密で世界の模範になる」と自賛した。

 1997年に始まった同フォーラムは、ウクライナ侵略前はロシア版「ダボス会議」と称され、脚光を浴びた時代もあった。当時の安倍首相やメルケル独首相、マクロン仏大統領も参加したが、侵略後に一変した。今年はハンガリー外相などを除き米欧は参加せず、首脳はボリビアやジンバブエなどにとどまった。

 ロシアは長年、国内で活動を禁止してきたアフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンの代表も招いた。露外務省は最近、タリバンの「テロ組織」指定の解除をプーチン氏に提案し、認められればタリバン政権の承認に前進となる。

 フォーラムには、プーチン氏の娘2人のほか、ショイグ前国防相の娘など、政権高官の親族も参加した。内外の参加者の顔ぶれから、露独立系メディアは「ロシアの国際社会での孤立を示した」(モスクワ・タイムズ)と指摘している。