元十両・川副が三段目優勝「必ず戻らないと…心に決めた使命」関取復帰目指し“超人”が大ケガを機に進化

AI要約

川副(25=伊勢ケ浜部屋)が清乃海を破り、三段目全勝で各段初優勝を果たす。

ケガからの復帰を果たした川副は新しい相撲スタイルを模索し、今場所は全勝で結果を出す。

川副は幕内、三役昇進を目指し、幕内復帰への意欲を示す。

元十両・川副が三段目優勝「必ず戻らないと…心に決めた使命」関取復帰目指し“超人”が大ケガを機に進化

 ◇大相撲秋場所13日目(2024年9月20日 東京・両国国技館)

 元十両で西三段目51枚目の川副(25=伊勢ケ浜部屋)が清乃海(28=玉ノ井部屋)との三段目全勝対決を制し、7戦全勝で自身初の各段優勝を決めた。

 立ち合い胸から当たってもろ差しで両下手を引くと、自身よりも約60キロ重い175キロの清乃海を吊り上げて一気に前に出て寄り倒した。なぜか軍配は清乃海に上がったが、物言いが付いて差し違いで川副の勝ち。「負けたという感覚は一切なかったけど、最後もっと腰を割っていれば…」と反省点を挙げながら、無事に優勝が決まって安どの表情を見せた。引き揚げた花道では、宮城野親方(元横綱・白鵬)と握手を交わす場面もあった。

 「輝鵬」のしこ名で十両だった昨年秋場所を途中休場し、11月に左足リスフラン関節靱帯を再建手術。3場所連続全休し、夏場所は7番相撲だけ出場したものの本格復帰した名古屋場所では序二段まで番付を下げていた。「すぐに落ちた自分を見捨てないで応援してくれているのが心の支えになっています。必ず戻らないといけないというのが、心に決めた使命です」。十両復帰、そして幕内、三役へと再び目指していくことを誓った。

 大ケガの原因は、後ろに下がりながらの相撲が多かったこと。驚異的な柔軟性や身体能力の高さでうっちゃりなどの大技も得意としていたが、小さな体に掛かる負担は大きく、ケガにつながった。「前に攻めてチャンスを作る相撲に変えていかないと」と相撲スタイルを変更。今場所は7勝全て前に出る内容だった。

 今場所前からは、部屋で関取衆との稽古も本格的に再開。同じ小兵ながら幕内で活躍する翠富士や、脊髄損傷の大ケガから復帰した炎鵬、そして多くのケガを抱えながら横綱に君臨する照ノ富士の存在も大きな刺激になった。「見本になる人が多い。学ばないわけにはいかない」。伊勢ケ浜部屋への転籍もプラスに捉えた。「目標は十両(復帰)ではない。幕内、三役…上がある限りは上を目指します」。進化を遂げた“超人”が、再び上位の土俵を沸かせていく。

 ◇川副 圭太(かわぞえ・けいた) 1999年(平11)4月10日生まれ、熊本県宇土市出身の25歳。宇土少年相撲クラブで小1から相撲を始め、鶴城中3年時に全国都道府県中学生大会軽量級優勝、全中準優勝、白鵬杯優勝。文徳高2年時に国体少年の部優勝、全国高校選抜弘前大会3位。日大1年時に東日本学生新人戦優勝。3年時に東日本学生体重別大会無差別級優勝、全国学生体重別大会無差別級優勝、全国学生選手権団体戦優勝(副将)。4年時に全国学生選手権優勝。宮城野部屋(当時)に入門し、幕下15枚目格付け出しで22年秋場所初土俵。23年名古屋場所で新十両に昇進し「輝鵬(きほう)」に改名。左足のケガで同年九州場所から3場所連続全休。しこ名を本名の「川副」に戻した夏場所の7番相撲から復帰した。身長1メートル73、体重117キロ。並外れた身体能力と柔軟性、驚異的なケガの回復力などから“超人”の異名を持つ。