【ラグビー】日本代表が米国に勝利、B組1位通過 “超速”発展形で終始リードも後半に課題残す

AI要約

5年ぶりの優勝を目指す日本がパシフィックネーションズカップでB組1位通過を決めた。

日本はエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの指揮のもと、「超速ラグビー」を展開して準決勝進出を果たした。

次戦は世界ランク上位のサモアとの対戦で、超速ラグビーの進化が問われる。

<ラグビー:アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ>◇7日◇1次リーグB組◇埼玉・熊谷ラグビー場◇観衆1万677人

 5年ぶりの優勝を目指す日本(世界ランク14位)が、B組1位通過を決めた。ともに初戦白星だった31年W杯開催国の米国(同19位)に41-24で勝利。すでに準決勝進出を決めていたが、2戦全勝。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)が掲げる「超速ラグビー」を1段階前に進め、CTBディラン・ライリー(27=埼玉)の独走トライなど個人技も光った。準決勝は15日、東京・秩父宮ラグビー場でA組2位サモア(同13位)と戦う。

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 気温30度を超えた熊谷の夜、日本は旗印“超速ラグビー”の発展形を見せた。3-0の前半15分、相手陣10メートルライン付近の左ラインアウト。ロックで身長201センチのディアンズが素早く飛び、相手に競らさずに確保すると、右へ展開した。SO李が防御裏にふわりと蹴ったボールをライリーがつかみ、左隣についた同じCTBのマクカランに託した。約40メートルを1度も倒れることなくつなぎ、主導権を握るトライ。蒸し暑さで手元が滑る状況を克服した。

 “超速”は単に走る速さだけではない。一例がラインアウト。ディアンズは新体制にアドバイザーで入閣したビクター・マットフィールド氏(47)の経験談に驚いた。南アフリカ代表でW杯4大会出場、世界一にもなった同氏は「代表では15年間、同じオプションとシェイプ(形)だった」。リーダーのディアンズは「シンプル。スピードで高さを出す」と動きを少なくし、速さと、質の高いリフトでのボール確保を掲げる。

 前半を24-10で折り返すと、後半早々は走った。5分にCTBライリーが自陣から加速し、相手4人を振り切る約70メートル独走トライ。終始リードで試合を進めたが、後半に2トライを献上するなど課題も残した。かねてジョーンズHCは「ローマは一日にして成らず。目指しているのは、世界で一番の超速ラグビー。27年W杯オーストラリア大会が最終形」と見通しを示す。

 準決勝は世界ランクで格上のサモア戦となる。昨夏には黒星も喫した難敵。勝ちながら、超速の進化を図る命題が待つ。【松本航】