【アジア競馬会議】「帽子の男」矢作師の大胆改革案“BTC活用で函館と札幌の同時開催”

AI要約

アジア競馬会議(ARC)のビジネスセッション2日目が29日、北海道札幌市のコンベンションセンターで行われた。この日のエキシビションセッションでは「日本のホースマン」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、矢作芳人師と三嶋牧場の三嶋健一郎取締役が登壇した。矢作師は競馬の増加に向けた提案を行い、北海道での競馬開催の拡大を訴えた。

45分間のセッションでは熱い思いが語られ、矢作師は競馬のメジャー化を目指す意気込みを語った。また、競馬時間帯の拡大についての意見も述べられ、より効果的な対策の必要性が指摘された。

矢作師は北の大地での競馬開催拡大を提案し、BTCを活用するなどの大胆なアイデアも示した。現場とファンの意見に耳を傾け、競馬の改良とイベント開催について呼びかけた。

 アジア競馬会議(ARC)のビジネスセッション2日目が29日、北海道札幌市のコンベンションセンターで行われた。

 この日のエキシビションセッションでは「日本のホースマン」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。登壇したのは矢作芳人師、三嶋牧場の三嶋健一郎取締役。日本馬の世界的な成功を振り返り、日本の競馬と生産が直面する喫緊の課題について議論した。その中で矢作師は今夏、JRAが暑熱対策の一環として行った「競走時間帯の拡大」にも言及した。

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 45分間のセッションでは熱い思いが語られた。矢作師はいつものように、トレードマークのハットを被って壇上に登場した。「ザ・マン・イン・ザ・ハット」-。日本ダービー2勝、海外G1・8勝。世界的にも知られたトレーナーは、夢を問われてゆっくりと口を開いた。「究極の目標は競馬という素晴らしいスポーツを日本の中でもっとメジャーにしていきたいです」。

 日本競馬の進歩、馬産、厩舎運営、海外遠征など話題は多岐に広がった。その中で今夏、新潟で行われた「競走時間帯の拡大」にも話が及んだ。1Rの発走時間を9時35分、最終12Rを同18時25分とし、5R終了後の11時40分ごろからは約3時間半の昼休みを設定。酷暑時間帯を避けた番組編成が2週間実施された。

 矢作師は「午後6時とか、最後のレースを走った馬は昼間走った馬より楽なようには感じました。ただ、まだまだ対策としては中途半端なように感じます。われわれ現場としてはパドックの周回時間とか、スタートまでの時間の長さが、馬にも人にも大きな負担となっているので、もう1歩踏み込んだ改善が必要なのかな」と感想を述べた。

 大胆な改革案も出た。「北海道開催を増やしてほしいのが現場の希望だと思います」。昨夏、矢作師がプロデュースした真狩サマーステーブルが札幌と函館の中間に位置する真狩村にオープン。管理馬がよりベストに近い走りを出来るように努めてきた。だからこそ、本州に比べてまだ暑さが和らぐ北の大地での競馬開催拡大を望んでいる。矢作師は「あまり現実的ではないですけども」と前置きをし、「これだけインターネットの投票が盛んになった今であれば、BTC(北海道浦河町の軽種馬育成調教センター)の施設を活用するなりして、函館と札幌、北海道の2つの競馬場で(同時期に)競馬をしてもいいのかな、と」とも話した。

 25年の開催日割は秋口にも発表予定。矢作師は「昼休みの時間をファンのみなさんがどのように感じたかをもっと生の声を聞きたいという思いと、それを続けるのであれば、イベントをするとか、ファンのみなさんが喜んでもらえることをやっていただけたらありがたいです」と呼びかけた。【特別取材班】