「(本塁打数は)目的にならない、勝つための手段」底知れぬ男、大谷翔平…数字に熱狂するファンの夢「50-50」さえ超える“究極の目標”とは

AI要約

ドジャース大谷翔平が40本塁打&40盗塁を達成し、ファンから大歓声を浴びながらサヨナラ満塁本塁打を放った。

彼は記録更新よりもチームの勝利を最優先し、常に最善を尽くす姿勢を貫いている。

過去のエンゼルス時代に比べて、今はチームにしっかりと集中し、ポストシーズンに向けて準備を進めている。

「(本塁打数は)目的にならない、勝つための手段」底知れぬ男、大谷翔平…数字に熱狂するファンの夢「50-50」さえ超える“究極の目標”とは

 地鳴りのような大歓声がわき起こる中、右中間スタンドへ向かう打球を、ドジャース大谷翔平はどんな思いで見届けたのだろうか――。

 8月23日、本拠地ドジャースタジアムでのレイズ戦。3-3の同点で迎えた9回裏2死満塁。大谷が初球を振り抜いた瞬間、すべての視線が打球を追い続け、球場全体が揺れた。

 自身初のサヨナラ満塁本塁打で、史上6人目となる「40本塁打&40盗塁」を達成した大谷は、鳴りやまないスタンディングオベーションに対し、両手を掲げて返礼した。

 まるで優勝したかのような熱狂に包まれた試合後、大谷はいつも以上に清々しい表情で、素直な胸中を明かした。

「トップクラスの思い出になりました。もっともっとこれから勝って、その記録を塗り替えられるように頑張りたいと思います」

 公式戦が終盤戦に入り、本塁打、盗塁数を積み上げるたびに、大記録への意欲を聞かれ続けてきた。それでも、大谷は常にチームの勝利を最優先し、自らの成績を「二の次」として捉えるかのように、最善を尽くしていく意思を明かしてきた。今回の偉業達成後も、その姿勢は変わっていなかった。

「(本塁打が)何本かというのは、もちろん知っていましたけど、それが目的にならない、しっかりと勝つための手段としてやりたいと思っているので。盗塁に関してはやっぱり失敗しないことを第一に考えながらやりたいと思います」

 史上最速の126試合で「40-40」に到達したことで、今後は史上初の「45-45」だけでなく、「50-50」への期待も高まってきた。それでも、大谷の視点は開幕前の時点からブレていない。今や押しも押されもせぬ「ドジャースの顔」となったにもかかわらず、8月12日のブルワーズ戦で36号を放った際には、あらためて「転入生」のような言葉を残した。

「今シーズンは、ゴールを特に決めていなくて、本当に1試合1試合を頑張りたいと思っています。初めてのチームで、慣れるところからチームの特徴をつかみながら馴染めればいいと思っているので。今、だいぶ慣れてきて、ポストシーズンに向けて自分のやることにしっかり集中したいと思います」

 エンゼルスに在籍した過去6年間は、たとえ個人成績が傑出しても、チームの白星につながらず、もどかしい試合が続いた。毎年のように、シーズン終盤にはプレーオフ進出への望みが薄れ始め、いかに「野球少年」と呼ばれる大谷であっても、純粋かつ高いモチベーションを維持することが簡単ではない日々を過ごした。