【札幌記念】〝恵まれた〟だけではないノースブリッジV「なかなかすごい馬」奥村武師がたたえる成長力

AI要約

ノースブリッジがGⅡ札幌記念で好騎乗を見せて完勝し、今後の成長が期待される。

レースではスローペースを活かし、2番手追走から直線で先頭に立って勝利した。

異国での経験が馬の力を伸ばし、悲願のGⅠタイトルが近づいている。

【札幌記念】〝恵まれた〟だけではないノースブリッジV「なかなかすごい馬」奥村武師がたたえる成長力

[GⅡ札幌記念=2024年8月18日(日曜)3歳上、札幌競馬場・芝2000メートル]

「よし!」――。会心の騎乗を終えた闘将・岩田康の雄たけびが検量室前にとどろいた。18日、札幌競馬場で行われたGⅡ札幌記念(芝2000メートル)はノースブリッジ(牡6・奥村武)が番手から押し切っての完勝。勝ち時計は1分59秒6(良)。前残りの馬場、ペースを考えれば恵まれた面もあるが…。勝ち馬の今後を測る最適な物差しは馬自身の〝成長〟にある。

「1コーナーというか、(最初の)ゴール板のところぐらいから自分のペースで行けて…このペースで行けるんだというレースでしたし、だからこそ3角過ぎて仕掛けて、すごく素晴らしいこの馬の瞬発力を見せられたのかなと思います」とは鞍上・岩田康の弁。5ハロン通過1分00秒5のスローペースを味方に2番手追走から直線入り口で先頭に立つとそのまま後続を1馬身3/4差封じ切る完勝。「プログノーシスが出遅れちゃったからね」と奥村武調教師が振り返ったように、流れに加えて偶発的要素にも恵まれた面はある。

 ただ、今回のレベルを測るキーワードに勝ち馬の〝成長〟を入れなければ真実は見えてこない。「いつも先行というか、なんぼか前半の力みであったり、いろんな面で体力を削られていたんですけど、カタールであり、香港であり、攻め馬であり…の経験が本当に馬自身を充実させて、初めて完璧に近いレースができたんじゃないかなと思います」と鞍上が伝えれば、奥村武師も「4角で決着ついたような競馬ができたので力をつけているなと感じますね。輸送とか現地についてからの調整法などは人間の方が手の内に入れてきたというか、人間の方も海外に行ったおかげで成長できているのかなと現地に一緒について行ったスタッフたちと感じていて…。それが生きたのかなと思います」と話す。異国を転戦した人馬の経験がこの馬の底力を覚醒させつつあるのだ。

 展開や前残りの馬場を考えれば、そのレベルには疑問符がつくかも。だが、指揮官から出てきた言葉には、そんな要素を吹き飛ばしてしまう〝力〟がある。

「1回緩めて立ち上げるときに毎回僕が『こういう風に良くなればいいな』と思っていることが良くなっていってくれているので。まだそんな止まっていないのでこれからまだもう一つ二つ良くなって行くんじゃないかなと思っていて…。なかなかすごい馬だなと思います」

 一戦ごとに成長を積み重ね、今なお伸び続けるノースブリッジ。悲願のGⅠタイトルが近づいてきた。