早実のエース・中村心大、10回完封&サヨナラ打 終盤のピンチも尊敬する父からの言葉に強気で押し切る【甲子園】

AI要約

早実のエース・中村心大投手がタイブレーク延長10回1死満塁からサヨナラ打を放ち、感動の勝利を収めた。

中村は左肘の怪我から復活し、甲子園でも強力なピッチングを見せ、父への思いも込めて試合に臨んだ。

和泉監督も中村の投球を絶賛し、チームはさらなる成長を目指して全力で戦う決意を見せている。

早実のエース・中村心大、10回完封&サヨナラ打 終盤のピンチも尊敬する父からの言葉に強気で押し切る【甲子園】

◇15日 第106回全国高校野球選手権2回戦 早実(西東京)1―0鶴岡東(山形)=延長10回タイブレーク、甲子園

 打球が右翼手の上を越えていくのを見ながら走った。早実のエース・中村心大投手(2年)がタイブレークだった延長10回1死満塁からサヨナラ打。マウンドで左太もも裏をつって治療の時間をとってもらった直後、初球の低めのスライダーをたたき、「自分のせいで相手に迷惑をかけていましたが、タイム明けなので思い切っていこうと思った。サヨナラ打は初めてです」と振り返った。

 3月に左肘を痛めて、練習試合でも最長4イニングしか投げずに西東京大会に入り、初戦で延長10回を4失点完投し完全復活。甲子園ではさらにパワーアップした。鶴岡東の桜井との投げ合い、夏の甲子園で初めての0―0でのタイブレーク突入して投げ勝った。和泉実監督は「見たこともないピッチングでした」と絶賛。2006年夏の決勝、斎藤佑樹(元日本ハム)と駒大苫小牧(南北海道)の田中将大(現・楽天)の投げ合いになぞらえて、「18年も前ですが、マー君と斎藤が高め合ってああいう試合になった。きょうの中村も、桜井君に引っ張られた」とうなった。

 130キロ台後半の直球をコースに決めて、カットボールもうまく使って6回2死までノーヒット投球。最後まで三塁を踏ませなかった。父・秀典さんは天理(奈良)で捕手として春夏の甲子園に出場し、春は4強、夏は8強に進んだ。「父からは、気持ちの強さを大事にしろと言われてきました」。終盤のピンチも強気にストレートで押し切り、尊敬する父に少し近づいた。

 西東京大会ではなかったロースコアの競り合いを制した。和泉監督がいつも言っているように、一戦ごとに強くなっている。斎藤佑に憧れて入学した中村は「次も全員で勝って行きたい」と力を込めた。センバツで優勝した王貞治さん(現・ソフトバンク会長)以来の早実左腕エースの日本一へ、次は8強入りをかけて戦う。