【卓球】2-0から痛恨の大逆転負け 崩れ落ちた張本智和「やるしか」3位決定戦へ懸命切り替え

AI要約

男子団体準決勝で、日本は痛恨の大逆転負けを喫し、銀メダル以上を逃す結果となった。

張本智が力尽き、涙ながらに敗れた5試合目でチームの運命を託されるも、逆転されて決勝進出を逃した。

3大会連続メダルを懸けた日本の卓球男子は、3位決定戦でフランスと戦うこととなった。

【卓球】2-0から痛恨の大逆転負け 崩れ落ちた張本智和「やるしか」3位決定戦へ懸命切り替え

<パリオリンピック(五輪):卓球>◇7日(日本時間8日)◇男子団体準決勝◇パリ南アリーナ

 【パリ7日(日本時間8日)=木下淳】男子団体準決勝で、痛恨の大逆転負けを喫した。

 日本が2試合先取からスウェーデンに2-3で敗れ、2大会ぶりの銀メダル以上を逃した。ダブルスの戸上隼輔(22=井村屋グループ)篠塚大登(20=愛知工大)組が先勝。エース張本智和(21=智和企画)も個人シングルス銀のモレゴールを破ったが、そこから戸上、篠塚と連敗。最終第5試合で張本智が2-0先行から、ひっくり返されて涙を流した。16年リオデジャネイロ五輪の銀、21年東京五輪の銅に続く3大会連続メダルを懸け、今日9日の3位決定戦で開催国フランスと対戦する。

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 張本智が、膝から崩れ落ちた。コートに突っ伏し、涙が止まらない。抱きかかえられ、真っすぐ立てない姿とぼうぜんとした表情が衝撃を物語る。「死んで楽になるんだったら死にたい」。第一声で、そう例えで表現してしまうほどの負けを食らい「もう意味分かんないです、今…」。3時間半超の激闘の最後に、ただうなだれるしかなかった。

 2試合連取から追いつかれて迎えた第5試合のシェルベリ戦。日本の命運を託されたが力尽きた。2ゲームを軽々先取も、途中からは完敗。2大会ぶりの決勝進出が消えた。田勢監督は左太ももに違和感があったことを明かし、本人は「足はつりそうだった」程度しか言わなかったが「もう本当に力が残っていない」という試合。勝てば報われるが、悲壮感にまみれた。

 第1試合のダブルスを戸上、篠塚組が制した後、張本智は第2試合で今大会シングルス銀メダルのモレゴールとのエース対決に勝利。しかし、第3試合で戸上が格下のカールションから1ゲーム先取から逆転されると、潮目が変わった。「いい流れを壊してしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」。戸上も含め、全員が自分を責めた。

 最後を託された張本智は「完璧な2ゲームをした後、ほんの少し、自分の戦術を実行できなかった」と悔やんだ。途中から極限、最高の心理状態「ゾーン」に入ったと思われるシェルベリが全くミスしなくなり、サーブ決定率は第3ゲームから失点過多に。過去4戦4敗と得意ではない相手に対し、「息を吹き返す前に仕留めるしかなかった」が流れを阻めなかった。

 東京五輪後の3年間の「集大成」は非情な結果となり、3位決定戦へ「頑張れない」と漏らしたが「やるしかない、と言うしかない」と続け、懸命に切り替えた。3位決定戦の相手は一夜明けてフランスに決定。日本の連続メダルを3大会に伸ばすためには、喪失感を拭い去るしかない。

  戸上、篠塚も沈痛な面持ちだった。第1試合のダブルスこそ制したが、シングルスで急減速。戸上は台上の細かい技術でミスが出て、カールションの鋭いバックハンドにも苦戦した。篠塚もモレゴールとの地力の差が顕著だった。それでも田勢監督は「東京五輪が終わって(平均年齢21歳の)若いチームを作り上げてきた。ここまで戦えた。素晴らしい試合」と評価した。篠塚も「最後まで諦めず頑張りたい」と強引に前を向いた。