貴景勝、「弱い者が落ちるべきだと思います」2度目の大関陥落 初めての屈辱も名古屋、5年後に再び試練

AI要約

大関貴景勝が名古屋場所13日目で負け越し、2度目の大関陥落が決まった。

貴景勝は再び試練に直面し、困難を覚悟して自身の進化を宣言した。

現役引退と進退について模索する貴景勝に、師匠は本人の意志を尊重して話し合う方針を示した。

貴景勝、「弱い者が落ちるべきだと思います」2度目の大関陥落 初めての屈辱も名古屋、5年後に再び試練

◇26日 大相撲名古屋場所13日目(ドルフィンズアリーナ)

 今場所はかど番だった大関貴景勝(27)=常盤山=が結びで横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)にはたき込みで敗れて、5勝8敗で負け越し。自身2度目の大関陥落が決まった。

 前のめりに倒れて力尽きた貴景勝は10秒近く起き上がれなかった。照ノ富士にはたき込まれて8敗目が決まった瞬間、通算30場所守ってきた大関の座からの2度目の陥落が決まった。

 「負けは負け。強いやつは大関にいるし、もしくは上に行く。落ちたということで、弱い者が落ちるべきだと思います」

 初めての屈辱も名古屋だった。2019年、右膝の負傷が完治せず場所直前に全休を決断。土俵に上がらず、大関の座を失った。「5、6年後、この経験があったから、今の自分があると言えるように」と進化を宣言。秋場所で12勝を挙げて、2桁白星が条件の特例での復帰を成し遂げた。

 明るい未来をイメージしていた5年後、皮肉にも再び試練に直面した。期待は当然、2度目の返り咲きだが「あの時とはまた…」と声を落とす。「年齢を重ねて、落ちたことは一緒だけど、中身はまるっきり違う」。困難を覚悟しているように唇を震わせて語った。

 大関として5年間で3度優勝したが、けがとの闘いでもあった。特に首は、押し相撲の根幹の立ち合いの当たりを揺るがせた。それでも、「皆どこかしら痛い。自分だけがけがをしているわけではない。けがも含めての勝負なので首は何の言い訳にもならない。自分の力が通用しなかった」。言い訳はしなかった。

 残り2日間については「12日間、やってきたことを明日もやっていく」と意欲を示した。ただ、来場所については「まだ場所中なので、先のことは…」と述べるにとどまった。

 陥落と同時に現役を引退した直近の大関は豪栄道(現・武隈親方)。貴景勝にとって、目標にしてきた埼玉栄高の先輩でもある。一方、現役では特例復帰を逃した後、20場所で大関に戻った照ノ富士がいる。午後8時20分ごろに名古屋市天白区の常磐山部屋宿舎に戻った師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)は「本人の意志を尊重して」と進退も含めて、話し合う方針を明かした。27歳の貴景勝は相撲人生の岐路に立った。